2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体侵襲制御と組織修復・再生における骨髄由来細胞の機能解析
Project/Area Number |
23390413
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Emergency medicine
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
並木 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20189195)
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Keywords | 臨床 / 生体侵襲 / 骨髄 / シグナル伝達 / プロテオーム |
Research Abstract |
本研究は、急性侵襲に対する生体反応として骨髄から動員される細胞が「組織あるいは全身の維持を図る合目的役割」を果たしているという仮説にたち、骨髄由来の末梢血細胞成分等について侵襲制御と組織修復・再生の観点からの機能解析を行い、新たな治療戦略を提示することを目的とする。平成23年度は、急性侵襲の臨床病態として重症sepsisを対象疾患とし、患者末梢血単球の解析を行った。 重症sepsis患者静脈血を入院当日、入院3日後、および入院8日後に採取した。対照群として、健常成人ボランティアから採取した静脈血を用いた。密度勾配法により末梢血単核球(PBMC)を分離した。この分画にはリンパ球および単球が含まれる。フローサイトメーターを用いて、PBMC のCD14とCD16発現プロファイルからCD14+ 単球とCD14+/CD16+ activated monocyteの割合を定量解析した結果、患者単球におけるactivated monocyteの割合はsepsisの重症度を反映し、病初期に上昇、病態改善に伴い健常人と同等のレベルまで低下することが示された。 CD14+ 単球をセルソーターにより分離・採取して、リン酸化プロテオミクスによりリン酸化ペプチドのプロファイルを得た。クラスター解析を行い、重症sepsis病初期にリン酸化反応が強く、病状の改善に伴いリン酸化反応が低下する蛋白質に注目した。その結果、重症sepsisとの関連が最近報告されている蛋白質に、sepsis病初期に限ったリン酸化が認められ、sepsis病態の超早期における細胞応答を示している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度直接経費の繰り越しにより、当初研究目的をおおむね達成した。 機関倫理委員会の承認を得て、重症sepsis患者末梢血を対象とした解析を進めた。末梢血から単核球を分離して、フローサイトメーターを用いた細胞フェノタイプ解析と細胞の分離採取を行い、リン酸化プロテオミクスによる細胞内シグナル伝達の網羅的な解析により、注目すべき結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた、重症sepsis患者の末梢血検体を対象とした実験結果を踏まえ、平成24年度はさらに検体数を重ねると共に、対象疾患を重症外傷、重症熱傷、そして出血性ショックに広げる。 研究推進のため、リン酸化プロテオミクスによる解析を担当する石濱泰教授を、平成23年度の連携研究者から平成24年度は研究分担者に変更する。
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