2013 Fiscal Year Annual Research Report
生体侵襲制御と組織修復・再生における骨髄由来細胞の機能解析
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23390413
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
並木 淳 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (20189195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石濱 泰 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30439244)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 臨床 / 生体侵襲 / 蛋白質 / プロテオーム |
Research Abstract |
急性侵襲に対する生体反応として骨髄から動員される細胞が「組織あるいは全身の維持を図る合目的役割」を果たしているという仮説にたち、骨髄由来の末梢血細胞成分等について侵襲制御と組織修復・再生の観点からの機能解析を行い、新たな治療戦略を提示することを目的として、実験を行った。 重症外傷、重症熱傷に対して集中治療を要した救急患者から、入院日および治療経過中の末梢血を採取して単核球を分離し、細胞表面抗原の発現プロファイルをフローサイトメーターを用いて解析した。その結果、Injury Severity Scoreで示される外傷の重症度が高度な症例で、CD14陽性の単球におけるHLA-DRの抗原提示能の低下が認められた。これは、受傷後の易感染状態に陥る重症外傷患者の病態が、侵襲に対する免疫抑制状態によって生じていることを示唆している。また、Burn Indexで示される熱傷の重症度が高い症例においては、病初期でCD14とCD16に二重陽性の活性化単球の増加がみられ、これまでの結果で得られている重症敗血症と類似した発現プロファイルを示した。重症例ではburn wound sepsisに陥った時点でCD14陽性の単球が末梢血中からほとんど消失し、過剰な侵襲に対する生体反応の抑制を示唆する結果であった。 臨床例で得られた結果を検証するため、鈍的外傷の定量的動物モデルの作成を試みた。実験動物にマウスを用いて、開腹下に皮膚生検用のパンチにより鈍的肝損傷を作成し、血清中の肝逸脱酵素(AST/ALT)の上昇を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床例における検討では、救急患者から採取した末梢血を対象としているため、検体の収集は昼夜を問わず不定期に行わなければならない。このため、検体解析を行う時間的な制約と人員・機器の確保の問題が生じている。これに対しては、研究協力者の確保により対応している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に得られた重症外傷、重症熱傷の救急患者検体を対象とした結果を踏まえ、症例数を重ねて検討する。とくに、生体侵襲後の単球系細胞における免疫提示能の変化と易感染性との関連について検討を進める。また、生体侵襲に対するdamage associated molecules(DAMPs)として、Histon H3, Histon H4, Mitochondria DNA, HMGB1に注目し、ELISA、Western Blotting、定量PCRにより解析を行い、骨髄由来の末梢血細胞成分との関連を検討する。 平成25年度に確立した鈍的肝損傷のマウス実験動物モデルを用いて、臨床例で得られた結果の検証を行う。
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