2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子イメージングを用いた口腔癌微小環境の可視化とその放射線治療への応用
Project/Area Number |
23390427
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三浦 雅彦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10272600)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 朗 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00142430)
林 良雄 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (10322562)
|
Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
|
Keywords | 分子イメージング / 放射線治療 / 腫瘍微小環境 |
Research Abstract |
1)増殖分画における細胞周期動態の解析:ヌードマウス皮下に固形腫瘍(HeLa-Fucci)を形成させ薄切標本を作製して観察した結果から、放射線によるG2ブロックの遷延が示唆されることを昨年示した。興味深いことに、53BP1による免疫染色でDNA二重鎖切断(DSB)を検出すると、照射5日後でもDSBが残存しており、in vivoではDSB修復が抑制されている可能性が示された。さらに、3次元増殖モデルとして知られるスフェロイドを作製し、その内部を共焦点蛍光顕微鏡で観察すると、内部の細胞ではG2/Mアレストの遷延が認められ、外周の細胞からアレストの解除が起こることがわかった。以上の結果は、腫瘍微小環境がDSB修復を抑制し、その結果、G2/Mアレストの遷延が起こる可能性を示唆している。 2)低酸素細胞分画の解析:0.1%以下の酸素分圧で、FucciのmAG、mKO2の蛍光がいずれも消失することを昨年示したが、今回、酸素分圧に対する依存度を、種々の低酸素状態を作製する新たな手法を導入し、半数の細胞が蛍光を消失する酸素分圧を求めたところ、mAGで0.3%、mKO2で0.9%であり、後者の方がより強い酸素依存性を示すことがわかった。ヌードマウス移植腫瘍の切片を解析すると、壊死部周囲にヘキストのみ染色され、Fucci蛍光が全く認められない領域が存在することが判明し、慢性低酸素状態によって生成されたと考えられた。 3)新規微小管重合阻害剤によるFucciへの影響:最近、癌治療において化学療法との併用が重要な役割を果している。そこで、今回新たな試みとして、plinabilinとよばれる新規微小管重合阻害剤がFucciにどのような影響を与えるかをまず解析した。その結果、次第に緑色細胞が増加してM期が遷延し、本来発現しないはずの赤色蛍光を発し、M期で細胞が崩壊する現象が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射線照射後に認められたG2ブロックの固形腫瘍内での遷延については、DSB 修復の抑制が関与している可能性が示唆され、この計画は順調に進んでおり、さらなる解析を進める予定である。新しい試みとして行った新規微小管阻害剤による効果についても特徴的な変化が検出され、これについては既に論文として報告した。低酸素状態がFucciシステムの蛍光に及ぼす詳細な影響についても論文として報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
放射線照射後に認められた固形腫瘍内でのG2ブロックの遷延が、DSB修復阻害によるという仮説は、極めて興味深く、腫瘍微小環境の意義をさらに追求したいと考えている。化学放射線療法は、現在臨床において重要な位置づけにあることから、今回得られた新規抗がん剤によるFucciへの特徴的な影響については、放射線を併用することでさらなる解析を加える。低酸素分画の解析、骨浸潤部でのHIF-1α発現についても、解析を試みる予定である。
|
Research Products
(4 results)