2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の局所腫瘍免疫に及ぼす低酸素環境ならびにHIF-1αの影響
Project/Area Number |
23390430
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 哲也 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (00200824)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇高 恵子 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (40263066)
山田 朋弘 高知大学, 教育研究部・医療学系, 准教授 (60335619)
笹部 衣里 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (40363288)
北村 直也 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (70351921)
李 康広 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (70587526)
|
Keywords | 低酸素 / HIF-1α / NK細胞 / LAK細胞 |
Research Abstract |
【研究の目的】近年、癌治療において様々な免疫療法が試みられるようになってきたが、いまだ標準的治療法となっていないのが現状である。低酸素環境下に置かれた癌細胞では、増殖・浸潤・転移能が増強するとともに治療抵抗性となることが知られているが、癌組織の低酸素環境は局所腫瘍免疫に対しても影響を及ぼすのではないかと考えられる。そこで、低酸素環境ならびに低酸素応答のマスター遺伝子である低酸素誘導因子(HIF-1α)が口腔癌に対する局所腫瘍免疫にどのような影響を及ぼすかについて検討した。【材料および方法】当教室で樹立した株化口腔扁平上皮癌(OSC)細胞ならびにsiRNAにてHIF-1αをノックダウンしたOSC細胞を、低酸素環境下(1%O_2)で培養した後、HIF-1α発現をウェスタンブロット法にて解析するとともに、エフェクター細胞(NK細胞あるいはLAK細胞)に対する被傷害性を^<51>Crリリースアッセイにて検討した。さらに、OSC細胞からの抑制性サイトカイン(VEGF、TGβ1、IL-10、IL-13)産生に及ぼす低酸素処理の影響をELISA法にて解析した。【結果】OSC細胞を低酸素で処理すると、HIF-1α蛋白発現が増強するとともに、エフェクター細胞に対する被傷害性がコントロールに比べ有意に低下した。OSC細胞のHIF-1α発現をsiRNAにてノックダウンしておくと、低酸素処理による被傷害性の低下が抑制された。さらに、低酸素処理したOSC細胞の培養上清中のVEGFおよびTGβ1レベルは正常酸素処理のものと比較して高値を示した。【結論】低酸素環境ならびに低酸素応答のマスター遺伝子であるHIF-1αは口腔扁平上皮癌の局所腫瘍免疫に対して負に作用することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に沿った研究が実施でき、それなりの研究成果が得られている。ただし、臨床検体を用いての検討が充分にできていないことより、おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平上皮癌患者の生検材料を用いて、低酸素領域を明らかにすべくPimonidazole染色およびHIF-1α染色を行い、浸潤細胞における各サイトカイン産生細胞、CD4およびCD8陽性細胞、Treg細胞、樹状細胞の数および分布との関連を検討する。さらには、これらの結果と癌の臨床・病理組織学的特徴および予後との関連を検討する。これとともに、ヌードマウス皮下にWT1陽性腎癌細胞株を移植し、腫瘍を形成させる。その後、HLA型がHLA-A^*2402、A^*201、A^*0206のいずれかである健常者より末梢血単核球を分離し、WT1ペプチド、IL-2を用いてCTLを誘導する。そして、誘導したCTLを担癌マウスの尾静脈から投与し、移植した腫瘍の大きさの変化、マウスの総生存期間を観察する。
|
Research Products
(2 results)