2012 Fiscal Year Annual Research Report
FGF-2徐放による組織再生誘導能を備えた接着性レジンの開発
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23390434
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80243244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
騎馬 和歌子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10523087)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯学 / 修復材料 / レジン / 組織再生 / 接着性 / FGF-2 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度に作製に成功したpolyHEMA系ハイドロゲル粒子のFGF-2徐放用担体としての有用性を詳細に検討するとともに,ゲル粒子配合の基材レジンとなる4-META/MMA系レジンを調製して実験を行い,以下の成果を得た。 蛍光ラベルしたBovine serum albumin (BSA)を試作ゲル粒子に担持させ,共焦点レーザー顕微鏡による観察を行ったところ,BSAがゲル粒子の表層に蜜に吸着して担持されていることが分かった。また,BSAあるいはFGF-2を担持させたゲル粒子からの各タンパクの徐放挙動を調べた結果,いずれも21日間の長期にわたって持続的に溶出することが確認された。つづいて,FGF-2担持ゲル粒子を浸漬した培地を用いて骨芽細胞様細胞であるMC3T3-E1細胞を培養したとこころ,有意な増殖促進作用が認められ,ゲル粒子から溶出したFGF-2が効果を示すことが明らかとなった。しかも,この細胞増殖促進作用は浸漬開始から長期間経過後も維持されていることが確認された。 一方,サンメディカル社製Super Bondをベースにした4-META/MMA系レジンを調製し,熱電対センサーを用いて重合時の温度上昇を調べた結果,室温および37℃下のいずれであっても,上昇温度は2.5℃以下であり,タンパクの変性を引き起こすレベルではないことが判明した。また,調製したレジンの硬化体からの未重合モノマーの溶出濃度は,4-METで約2.2μg/mL,MMAで約9.8μg/mLと低濃度であり,これらの濃度の各モノマーの存在下でもFGF-2の活性は阻害を受けず,MC3T3-E1細胞の増殖が促進されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの2年間の研究により,タンパクの担持に適した新規polyHEMA系ハイドロゲル粒子の作製に成功し,このゲル粒子にFGF-2を担持させることにより,長期間にわたってFGF-2を徐放するハイドロゲル粒子の実現が可能であることを明らかにした。また,骨芽細胞様細胞を用いた培養系で,試作ゲル粒子から徐放したFGF-2が担持前と同様の活性を維持していることが確認され,計画した目標はほぼ達成できていることから,研究はおおむね順調に進行していると判断できる。 なお,試作ゲル粒子を基材レジンに混合した場合の物性の評価を含め,適用法全般に関連する検討を次年度に重点的に行うよう変更した点で,一部当初の計画とは異なる進展状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床応用した際の有効性の点では,当初予定していた4-META/MMA系レジンに試作ハイドロゲル粒子を直接混合する方法は必ずしも最適であるとは限らないことや,ゲル粒子との親和性がより高い他のレジン組成への適用も検討する必要があると考えられる。そのため,次年度には,試作ゲル粒子の4-META/MMA系レジンへの直接混合の適否を曲げ特性等の点から検討するとともに,レジン表面への散布方式でのゲル粒子の適用の可能性についても調べる予定である。また,より弾性が高く,試作ハイドロゲルとの親和性にすぐれた新たな基材レジンの模索を行うことにしており,これらにより,臨床的有用性の高いFGF-2徐放性レジンの材料デザインの確定を試みる。
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Research Products
(8 results)