2012 Fiscal Year Annual Research Report
骨増生の予知性を高める新規手法の開発とその効果の検討
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23390445
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50195872)
神野 洋平 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40507779)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 骨増生 / インプラント / 骨補填材 / GBR / 国際研究者交流(米国) |
Research Abstract |
補綴領域における治療は、骨の状態によってその成否が大きく影響される。そのため補綴前処置としての骨の増生は身近なものとなり、さらに近年より患者の負担が少ない方法が多方面より模索されてきている。しかし、骨増生術は常に種々のリスクを有し、また、人工骨補填材のみで骨増生を行った場合骨の形成不全が問題となっている。本研究では、上記の問題点を克服すべく、軟組織の治癒を促進し、感染制御可能かつ骨形成を促進することができる手法を開発することを目的とした。本年度の研究目的は、スタチン徐放性生体内吸収性GBR膜およびスタチン徐放性骨置換性骨補填材を作製し、実際の動物実験を行うこととした。 <スタチン徐放性生体内吸収性GBR 膜の開発> ここではスタチン徐放性生体内吸収性GBR 膜の作製とその効果の検証を目的とした。生体吸収性材料として試作したスタチン含浸PLGA シートを用いて、シートからのスタチン徐放を測定したところ、シートからはスタチンが経時的に徐放されることが確認できた。また、予備実験においてスタチンは口腔上皮細胞のマイグレーションを促進することが示唆された。 <スタチン徐放性骨置換性骨補填材の開発> 骨再生が必要な部位において、現在の治療法ではGBR 膜に加えて骨補填材を併用するが、現在のところゴールドスタンダードとなる材料はない。そこで、これまでに当教室で開発した、生体内で骨芽細胞による骨添加、破骨細胞による骨吸収をうける、いわゆる骨を模倣したといえるアパタイト系骨補填材にスタチンを含有させ、スタチンを徐放することによって補填材周囲骨形成の促進を図ることを目的とした。まず、作製した補填材を疑似体液に浸漬したところ、経時的にスタチンが徐放されることが示唆された。さらにスタチン含有補填材をラット脛骨に作製した骨欠損に埋入したところ、骨再生がスタチン非含有補填材よりも多く認める傾向が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、大動物を用いた骨補填材の実験を行う予定であったが、これは昨年度は研究計画までに終わった。しかし、その他の予定実験は概ね消化することができた。そこで、本研究の達成度を「おおむね順調に進展している」と自己判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、24年度に行う予定だった大動物を用いた骨増生実験の継続を行いつつ、骨形成のメカニズムを解析する実験を行う。具体的には、これまでに作製したスタチン含有GBR膜、スタチン含有骨補填材を使用した際の骨動態について、PCR Array法を用いて、骨形成/吸収に関わる遺伝子の発現、あるいはターゲットとした因子の発現(それぞれの材料を生体内に埋入した場合、増殖に係わる遺伝子が生体内・局所で実際に促進されているか)を網羅的に検討する。
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Research Products
(1 results)