2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体活性金属イオンの長期徐放を可能にする分解制御型合金デバイスの開発
Project/Area Number |
23390451
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 良央 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30302152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 玲子 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノスケール材料部門, グループリーダー (20343882)
向井 敏司 神戸大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40254429)
金高 弘恭 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50292222)
熊本 裕行 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70215028)
今井 啓道 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80323012)
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Keywords | 生体材料 / 歯学 / 再生医学 |
Research Abstract |
本研究は、マグネシウム合金を用いた骨形成用デバイスの開発であり、マグネシウム合金について、治療に耐えうる機械的強度、特性と骨形成に作用する金属イオンの徐放と骨形成促進効果の検討が主目的となる。本年度は、カルシウム系マグネシウム合金の試作に取りかかり、単純な円錐形先端構造を有するピンを作製して、実際に固定処理を行わないブタ下顎骨に専用デバイスを用いて打ち込んだ。実験には、臨床ですでに様々な材料の使用経験を有する今井准教授により実際に打ち込み試験を行った。結果としてブタ下顎骨はヒトに比べて硬いものの槌打による打ち込みで皮質骨内に先端を壊すことなく埋植できた。通常はガイドとなる穴をつくって挿入するデバイスであることから少なくとも破損することなく埋入できると思われた。また動物実験については、本年度は、ウサギの脛骨に直径2mmの円柱状マグネシウム合金を移植する実験を行った。しかし長期観察が必要なため本年度中に屠殺を行うことができず、現在経過観察中である。埋植部は、肉眼的に炎症や腫れなどの病的変化はみられず経過良好である。組織的には前述した動物実験モデルの予備実験サンプルの樹脂包埋標本を作製して、組織学的に骨形成についての再検討を行った。マグネシウム合金のあるタイプは、マイクロCTによる観察で6ヶ月以内にほぼ分解され、原形をとどめていないが、組織学的には腐食生成物と思われる非染色性の無構造な塊状物が組織内に散見された。一方で実際に吸収された合金の存在部位およびその周囲に骨細胞を有する骨組織の形成が樹脂包埋標本によって確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災により動物実験が進められず、埋植するに留まってしまった。また同様の理由によりマグネシウム合金の試作品を実際に確認するためのスケジュールが合わず、実際に臨床的予備実験が行うのが遅い時期となり、設計等へのフィードバックが遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、継続して動物実験モデルを用いたin vivo実験を行い、徐々に組織標本をふやしていき、特に骨形成効果について科学的な検証を行いたい。また実機に近い形状を付与して、同様に骨への挿入が可能であるかどうかの検討を行う。そのためにできる限り打合せ時間を作って作製の立場と臨床の立場での接点をもたせながら改良をすすめていきたいと考えている。
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