2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体活性金属イオンの長期徐放を可能にする分解制御型合金デバイスの開発
Project/Area Number |
23390451
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 良央 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30302152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 玲子 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料センター, グループリーダー (20343882)
向井 敏司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40254429)
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50292222)
熊本 裕行 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70215028)
今井 啓道 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323012)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生体材料 / 歯学 / 再生医学 |
Research Abstract |
本年度は、骨形成と同時に臨床応用において重要な課題となるマグネシウム合金の生体安全性評価を評価に注目し、動物実験により、ガス吸収、腐食生成物に対する組織反応を検討した。生体内でのマグネシウム合金の分解挙動とそれに対する組織反応を検討するため、ラットの皮下に移植した純マグネシウム、既存の工業用マグネシウム合金、開発合金について病理組織学的に観察した。皮下の実験群とも、移植後の体重の減少、血液および尿中マグネシウム濃度に異常な上昇はみられなかった。皮下に移植した分解速度の速い合金と遅い合金では、分解速度が速い合金で、移植後、早期にガス貯留、腐食生成物の形成が著明にみられた。組織学的観察より、合金および空孔を囲む組織は、血管を多く含む肉芽組織がみられた。一方、分解の遅い合金は、ガス貯留が軽度で、合金周囲および空孔周囲の組織は早い段階で器質化し、薄く結果の少ない線維性組織による被膜がみられた。マグネシウム合金から離れた空孔周囲の組織内に腐食生成物が含まれており、腐食生成物の形成、肉芽組織の付着、剥離などが分解に関与すると思われた。マグネシウム合金は、金属の組成や結晶構造の制御により、機械的特性や分解挙動を調整することが可能である。開発するマグネシウム合金に対して、マグネシウム合金の分解、発生ガス吸収のメカニズムの解明には、組織学的検討が必要であると思われた。臨床応用ではガス発生について、長く大量に貯留させないためにも、材料の組成から急激な発生を抑制することを検討することが必要であると同時に貯留したガスを速やかに吸収する方法の検討も重要である。それらを理解するための所見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね順調であるが、骨形成については樹脂包埋標本の研磨に時間がかかり、また使用を予定していた装置が年度末に入ったため組織内の元素分析がなかなか思うように進まずやや遅れがでた。
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Strategy for Future Research Activity |
マグネシウム合金の骨形成能については一定の所見がでており、新生骨形成については、樹脂包埋標本を用いた元素分析により、骨形成促進への効果について解析を進めたいと考えている。特にマグネシウムが新生骨にどのように取り込まれて、形成そのものにどのような影響を与えているか早急に検討したい。
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Research Products
(2 results)