2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨伝導性DNA/プロタミン複合体を応用したインジェクション型骨補填材の開発
Project/Area Number |
23390455
|
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
福島 忠男 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80084250)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 徹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (40172994)
土井 豊 朝日大学, 歯学部, 教授 (40116067)
岡畑 恵雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80038017)
川口 稔 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10122780)
大野 純 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10152208)
|
Keywords | DNA / プロタミン / 複合体 / インジェクション型 / スキャフォールド / 骨再生 / 抗菌性 / 骨伝導性 |
Research Abstract |
DNA(300basepair)/プロタミン複合体を乳鉢上にて水と練和するとペーストになる.ペーストの粘度は約280Pasであり,粘性は付加型シリコーン印象材に近似し,操作性は優れていた.また,細胞毒性は軽微で生体内で分解されるがその際の組織反応性も温和であった.したがって,インジェクション型の素材としての基本的性質を有していることが判明した.なお,複合体からの抗菌性プロタミン徐放量を測定した.徐放量は極めてわずかであったが徐放されていたので抗菌性を調査したところ,S.aureus,P.aeruginosa,P.gingivalis,P.intermediaに対してわずかであるが静菌性を示した.次に複合体の骨形成促進性を調査するためにマウス骨芽細胞(MC 3T3-E1)を用いて,in vitroでの評価を行った.そこで,まず,複合体ペースト表面に細胞を播種したところ細胞はスフェロイド形成した.このスフェロイド細胞は骨芽細胞としての形質を保持していることが免疫染色やスフェロイドの培養観察から確認できた。また,複合体からDNAが溶出しReal-time PCR法の遺伝子発現試験での骨形成能の確認は困難であったが,ELSA法によるALP活性およびオストオカルシン活性試験より確認できた.だらに,ラット頭蓋骨埋入in vivo試験でのHE染色脱灰標本,オステオカルシン免疫染色非脱灰標本からも複合体の骨形成能の確認ができた.一方,この複合体にバイオセラミック(炭酸アパタイト,α-,β-TCP)を添加した複合体の操作性や骨形成能などを複合体単独と同様の方法で調べた.セラミックを添加すると粘性が増加し,操作性はやや悪くなる.しかし,骨形成能は向上し,最も良好であったのは炭酸アパタイト添加物であった.今後の研究には炭酸アパタイト添加が有効であることが判明した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,期待した通りDNA(300basepair)/プロタミン複合体はペーストになり,細胞毒性は軽微で生体内で分解され,組織反応性も温和など,インジェクション型の素材としての基本的性質を有していることを証明できたことである.また,同時に静菌性や骨誘導性があることもin vitro,in vivo試験にて確認できたことである.さらに,3編の論文投稿と7件の学会発表ができたことはおおむね研究は順調に進展していると自己評価した.
|
Strategy for Future Research Activity |
DNA(300basepair)/プロタミン複合体の最大の特徴は自己ペーストになることである.その機能を最大限生かして新規インジェクション型骨補填材の開発研究を行う.すなわち,ペーストであるので他の素材との混合が容易である.したがって,複合体自体にも骨誘導性があるが,さらにサイトカイン(b-FGE BMPなど)などの骨誘導性材料を添加し骨誘導効果の増強を図る.その検証をin vitro,in vivoにて行う.また,Real-time PCR法試験方法を改善し,Real-time PCR法による確認方法も確立する.
|
Research Products
(10 results)