2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト免疫不全ウイルス感染者の病態把握における唾液検査の実用化
Project/Area Number |
23390462
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高木 律男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20143795)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 真吾 慶應大学, 医学部, 専任講師 (10177446)
田邊 嘉也 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (40444161)
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10242439)
|
Keywords | HIV / 唾液 / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
研究計画の概要目的:HIV-1感染者の治療において重要な抗ウイルス薬の内服状態の把握と、行政統計で最も問題となる新規感染者の感染時期判定法の開発 構想:(1)唾液を用いたHIV感染者の血中薬剤濃度判定法の開発(2)免疫グロブリン価の推移を根拠としたHIV-1感染時期判定法の確立(3)HIV-1感染者唾液の非感染性について以上の3項目について検証する。 研究の進捗状況本研究は3年計画で行う。平成23年度は(3)HIV-1感染者唾液の非感染性について研究を行った。私たちがこれまでに行った実験結果から、唾液中ウイルス量の定量が可能であることが認められている。そこで、唾液の感染性が「低い」あるいは「ない」原因が唾液中のウイルス粒子の中のRNAが損傷を受けることにあるという仮説を立て、それを検証するための測定法を確立した。まずRNAの精製操作においてどの程度損傷するかを調べた。精製する前のRNAと精製後のRNAはどちらもC_T値(ウイルスRNA量を示す値。大きいほどRNA量は少なくなる。)の傾きが0に近く有意差がなかったP=0.48)。これは精製操作においてRNA鎖の切断は起こっていないことを示している。次に、RNAを損傷することが明らかな紫外線照射による損傷度を本法で実際に評価できることを確かめた。まずLAI RNAに紫外線を0、1、2、4、8分間照射し、RT-リアルタイムPCRで定量した結果、照射時間が長くなるにしたがってC_T値の傾きが増加した。すなわちHIV-1RNAの損傷を定量的に評価できることがわかった。平成23年度の後半より本方法にて臨床検体を用いた実験を行っている。本結果は、平成23年度新潟歯学会第2回例会、および追加報告とし第25回日本エイズ学会学術集会・総会にて発表した。現在、上記結果をまとめた論文を作成しJournal of Dental Researchに投稿予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度はHIV-1感染者唾液の非感染性についての研究を行い、HIV-1 RNAの損傷度を定量的に測定できる方法を開発した。平成23年度の後半より本方法にて臨床検体を用いた実験を行っており、研究計画はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、引き続きHIV-1感染者唾液の非感染性についての研究を行い、平行して唾液を用いたHIV感染者の血中薬剤濃度判定法の開発を開始する。 検体採取方法 サンプル採取(唾液・血液)の際の口腔内の状態(潜血、歯周組織、扁桃腺など)の詳細な記録を作成する。(口腔内状態の評価とは具体的に歯周基本検査を行い、歯周状態との関連も考慮にいれる。採血は、田邊が担当)。血液採取と同日にHIV感染患者より唾液を採取する。安静時唾液を50mlの遠心管に吐き出し採取する(高木・永田が担当)。 ・HAART療法施行者の血清と唾液中の薬剤濃度の相関 ぜんそく薬のテオフェリン等の薬剤は血中薬剤濃度と唾液中薬剤濃度に相関関係がある。抗ウイルス薬も同様に血中と唾液中薬剤濃度に相関があることを仮定し、相関関係を検討する。薬剤濃度の測定にはLC-MS/MSを用いる(加藤が担当)
|