2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜のゲノム酸化防御機構の解明と口腔発がん予防検診への応用
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23390468
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
池邉 哲郎 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (20202913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (70150422)
鍛治屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (80177378)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ケラチノサイト / 口腔癌 / 活性酸素 / 老化マーカー / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
口腔粘膜の活性酸素による発がん機構の過程におけるDNA酸化の防御システムと老化機構との関係を調べるために、活性酸素による老化マーカーの発現を正常細胞と癌細胞とで比較した。正常な口腔粘膜のモデルとして正常ケラチノサイトを培養して過酸化水素を加えた。 細胞老化のマーカーであるsenescence-associated beta-galactosidase (SA-β-gal)の発現を調べると、過酸化水素100~800μMを24~96時間刺激すると、ケラチノサイトのSA-β-gal発現が亢進し、ケラチノサイトの老化進行が示唆された。しかし、口腔扁平上皮癌細胞を過酸化水素で同様に刺激しても、SA-β-gal発現は生じなかった。癌抑制遺伝子も老化マーカーと考えられているが、そのうち、P16(INK4a)、P21(clip1)、P53の発現をDNAマイクロアレイ法、RT-PCR法、Western blot法で調べた。その結果、過酸化水素の刺激によって、ケラチノサイトのP16(INK4a)とP21(clip1)の発現が上昇したが、p53発現に変化はなかった。口腔扁平上皮癌細胞に癌抑制遺伝子の発現に変化は見られなかった。さらに、P16(INK4a)、P21(clip1)、P53によって抑制されるサイクリン依存性キナーゼCdk4/6とCdk2の発現を調べると、ケラチノサイトでは過酸化水素によってCdk4とCdk6の発現が抑制され、Cdk2の発現に変化はなかった。口腔扁平上皮癌細胞では過酸化水素によってCdk発現は変化しなかった。 このような結果から、ケラチノサイトでは、P16(INK4a)の発現が活性酸素によって抑制され、その抑制がCdk4/6の発現抑制を促し、CyclinDが抑制されるため、老化が進行することが示唆された。一方、口腔扁平上皮癌細胞は、活性酸素によって老化が促進されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化ストレス刺激による細胞老化を確認し、正常細胞と癌細胞との相違を明確にできたから。
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Strategy for Future Research Activity |
ケラチノサイトおよび口腔扁平上皮癌細胞で、DNA酸化制御分子であるMutT関連タンパクの発現を増減させて、細胞老化とMutT関連タンパクとの関連性を明らかにする。口腔扁平上皮癌細胞の老化マーカーを発現させるための因子を探索する。また、前年度まで研究してきたケラチノサイトの上皮間葉移行(EMT)と細胞老化との関係性をMutT関連タンパクと転写因子NF-kB関連分子を軸に解析する。
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Research Products
(3 results)