2011 Fiscal Year Annual Research Report
変形性顎関節症における関節潤滑能の改善と軟骨修復・再生の有用性
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23390474
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
丹根 一夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30159032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 幸太郎 広島大学, 病院, 講師 (20322240)
丹根 由起 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50526241)
本川 雅英 広島大学, 病院, 病院助教 (90457268)
國松 亮 広島大学, 病院, 歯科診療医 (40580915)
吉岡 基子 広島大学, 病院, 歯科診療医 (00612003)
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Keywords | 歯学 / 再生医学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 生理活性 |
Research Abstract |
まず、第一に機械的負荷のSZPおよび炎症性サイトカインの影響を検討するため、機械的負荷をかけた後ブタ下顎頭軟骨を単離し、炎症性サイトカインおよびSZP遺伝子解析を行った。その結果、SZP、IL-1βおよびTNF-α遺伝子発現の上昇が明らかとなった。さらに、炎症時のHA添加が各遺伝子に及ぼす影響を明らかにするため、下顎頭表層軟骨細胞(MSF)および中間層の軟骨細胞(MAC)の培養を行い、炎症状態を想定してIL-1βにて処理を行い、その後高分子HAを添加した。その結果、IL-1β添加によりSZP発現は有意に低下したが、その後の高分子HA添加によりSZP発現回復した。これらの結果より、変形性顎関節症(OA)の要因の一つである機械的負荷はによりIL-1βなどの炎症性サイトカインの発現亢進がSZPの発現を低下させ、さらなる潤滑機能低下につながっていることが明らかとなった。 第二に、HAの分子量の違いがSZP発現に及ぼす影響について検討を行った。高分子HA添加により、SZP遺伝子発現は増加傾向を示すことがRT-PCR解析により示唆された。それに対して、低分子HA添加により、SZP遺伝子発現は有意に低下することがRT-PCR解析により明らかとなった。また、ヒアルロニダーゼ添加時においても、SZP遺伝子発現は濃度依存的に有意に低下した。さらに、HAの細胞表面レセプターとして知られているCD44をブロックすることで、SZP発現に対するHAの直接的な影響を検討した。その結果、抗CD44中和抗体添加により、SZP遺伝子発現は対照群に比べて有意に低下することが明らかとなった。以上の結果より、高分子HAがCD44と結合し、SZP遺伝子発現を調節することが示唆された。また、HAの分子量の違いによりSZP遺伝子発現に対する影響が異なることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HAがSZPに及ぼす影響については、おおむね予定通り検討が進んでいるが、本年度に予定していたHA添加によるシグナリング経路の解明は、ウェスタンブロット解析に時間を要し、本年度に間に合わすことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、SZP遺伝子発現に影響を及ぼしたHAの分子量についてシグナリング伝達経路の解明を行う。まずは、可能性のあるシグナリング経路(p38MAPK,JNK,NFkB,Akt)経路について検討を行い、それぞれの経路に対する阻害剤を用いた場合の影響についても検討していく計画である。
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Research Products
(5 results)