2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜の傷害度・萎縮度と唾液性状を指標とした口腔粘膜傷害リスク評価法の提案
Project/Area Number |
23390479
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小関 健由 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80291128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹田 奈緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (00422121)
細川 亮一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (40547254)
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60374948)
伊藤 恵美 東北大学, 歯学研究科(研究院), 技術一般職員 (80596817)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔粘膜炎 / 障害 / 萎縮 / 唾液 / 口腔ケア |
Research Abstract |
高齢者・がん闘病患者の口腔内問題を診断・予防し、それぞれの治療目標の達成とQOLの向上を支援するために、口腔粘膜の傷害度・萎縮度の評価と唾液分泌量低下による口腔乾燥症の評価に基づく新しいリスク診断・予防的診療体系を構築することを目的に研究を進めてきた。平成24年度は、平成23年度から研究を継続している2課題を更に進展させるために、口腔粘膜炎データベースを構築した。がん治療、特に放射線療法と化学療法を実施している患者を中心に、口腔支援の診療現場から口腔内症状のデータベースを構築し、これた研究期間を通して更新し続けている。これによって、口腔内現症とその経過が、多くのバリー-ションがあるがん治療の組み合わせの中から抽出できるシステムが構築され、粘膜口内炎の臨床像がより明白に把握できた。これにより、(1) 口腔乾燥症により口腔内の微細な擦過傷を発生させるリスクの診断方法の確立、および、(2) 口腔粘膜の萎縮や組織傷害による口腔内の微細な擦過傷を発生させるリスクの診断方法の確立の基礎的データを得ることができた。さらに、(3) これらのデータを総合した口腔粘膜傷害リスク評価法の設定を進めている。これまでの研究では、超音波ハプティックセンサの温度校正値の変導が大きく、正確な出力値の取得にはデータ数が不足している状況であるので、目下この計測値を鋭意集積している状況である。以上から、平成24年度は、口腔粘膜の傷害度・萎縮度と唾液性状を指標とした口腔粘膜傷害の基礎データを集積し、口腔粘膜炎の発症のリスク評価の方法を整理する事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度までの本研究全体の流れとして、進行しているのが、(1) 口腔乾燥症により口腔内の微細な擦過傷を発生させるリスクの診断方法の確立、および、(2) 口腔粘膜の萎縮や組織傷害による口腔内の微細な擦過傷を発生させるリスクの診断方法の確立の基礎的データの集積・データベースの確立である。これらは、(3) 総合的な口腔粘膜傷害リスク評価法の設定に必要な臨床データが蓄積され、解析が可能な状況になっている。ここで問題になっているのが超音波ハプティックセンサの温度特性に対する安定性である。これは、センサの接触子が金属製で針状であるものをガラス製でロッド状にしたものであったが、実験室の温度変化の少ない環境下では安定して動作するものの、口腔内外といた臨床応用上での使用温度条件にて、センサ出力が微細にシフトしてしまう事が原因で、製作会社と連携研究者と連絡を密にして改良・調整を行うことが必要になり、これに多くの時間を要したためである。しかしながら、臨床的な症例の蓄積は進んでいるので、今回の遅延を回復するための実験の場を設定できる状況にある。平成25年度は、この現状を改善し、さらに、(4) リスク診断に基づくリスク回避のための予防策と治療技術の開発、(5) 総合的な口腔粘膜傷害の診療指針の策定、までを完了するために、研究者が集中して研究を推進することを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
(3)総合的な口腔粘膜傷害リスク評価法の設定:詳細な唾液評価法と口腔軟膜評価法の構築から、実際の口腔粘膜炎に関する基礎調査を継続する。高齢者で推定された口腔粘膜の病的変化の特徴を中心に、入院患者の口腔ケア介入、及び、抗がん治療開始前に口腔内評価法を実施する。実際の放射線照射療法や化学療法時には、口腔ケアの処置の中で口腔内評価法を継続・追跡して、口腔粘膜傷害リスク評価法の指標を確定する。 (4)リスク診断に基づくリスク回避のための予防策と治療技術の開発:高齢健常者・口腔乾燥症患者・抗がん治療患者の指標データが集まった時点で、口腔乾燥症と口腔粘膜傷害に対する口腔粘膜保護の治療案を制作する。対応法は保湿と機械的刺激の低減がその中心となることが予測される。そこで、唾液物性や成分、超音波ハプティック・センサによる粘膜萎縮度の評価を指標に、健康な状態に粘膜を戻すための処置法や保湿剤の評価を考える。 (5)総合的な口腔粘膜傷害の診療指針の策定:口腔乾燥症も口腔粘膜組織傷害に関しても、口腔粘膜の障害回避を目的とした評価法が確立し、その効果的な対応法・治療法が提案できる様になった段階で、口腔粘膜傷害の診療指針を策定する。この指針に関して広く意見を集めるために、学会発表などや研究成果の開示事業などで情報の開示に務める。
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Research Products
(5 results)