2012 Fiscal Year Annual Research Report
地域終末期ケア体制の充実に向けた看護師主導型の多職種連携ツールの作成と効果の検証
Project/Area Number |
23390526
|
Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
福井 小紀子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (40336532)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池崎 澄江 千葉大学, 看護学研究科, 講師 (60445202)
藤田 淳子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (10553563)
辻村 真由子 千葉大学, 看護学研究科, 講師 (30514252)
乙黒 千鶴 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助教 (50613931)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 連携 / 終末期 / 多職種 / 地域医療 |
Research Abstract |
3年計画で行う研究全体の目的である「地域終末期ケア体制の充実に向けた多職種連携測定ツールの作成と検証」を遂行するために、初年度は、松戸市の多職種300名を対象に、終末期ケアにおける連携の実態把握のための質問紙調査を行い、終末期ケア連携に関して職種間で担う役割に違いがあることを明らかにした。医療面を支えるケア提供とその連携は主として医師と看護師が担う一方で、生活面を支えるケア提供とその連携は看護師とケアマネジャーが担っていることを明らかにした。 3年計画の2年目である本年度は、第二段階として、初年度の結果と文献レビューの結果、および研究協力地域である3地域(人口30万都市の岩手県盛岡市、人口12万都市の大分県別府市、人口4万都市の新潟県魚沼市)の地域で多職種連携推進役との意見交換を通して、地域終末期ケア提供に関する①顔の見える連携構築、②連携意識、および③連携行動を把握するための評価ツールの開発を行った。そして、これら3地域を対象として、在宅医、訪問看護師、ケアマネジャー、介護職、薬剤師の5職種を選定し、合計1500例を対象に、連携の実態(①顔の見える連携構築、②連携意識、および③連携行動)を捉えるための質問紙調査を実施した。その結果、700例から回答が得られ、1)地域の人口規模が小さいほど①顔の見える連携構築の得点が高いこと、2)終末期ケア経験、終末期研修受講経験、および終末期ケア会議に参加をしている程、②連携意識と③連携行動の得点が高まること、および3)職種によって連携行動の内容が異なること(すなわち、医師は情報発信とチーム管理をチーム形成の初期段階で行う、日々の情報発信・収集は看護師とケアマネジャーが中心となって行う、介護職は終末期ケア経験は半数程度しかないが連携参加意欲は高いこと、薬剤師は経験が少なく今後の連携参加が課題であること等)の関連性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の本研究では、1年目に地域のおける多職種連携に関わる職種と担う役割の実態把握をおこなった。2年目には、1年目の成果を基に、最も地域連携で重要と考える5職種(在宅医、訪問看護師、ケアマネジャー、介護職、薬剤師)を選定し、研究協力3地域(岩手県盛岡市、大分県別府市、新潟県魚沼市)にて、在宅終末期ケア利用者および医療依存度の高い在宅ケア利用者における多職種の連携の実態把握のための横断調査結果を実施し、行動面、意識面、および顔の見える連携構築面の3側面の連携力の実態を数値化した。そして、この調査結果を基に、各チーム連携の評価ツールの実施可能性と適切性を確認し、3側面に関する評価ツールを完成した。この2年間、当初の計画通り、順調に研究内容を達成していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
残す1年で、開発した評価ツールを用いて、「地域終末期ケア体制の充実に向けた多職種連携測定ツールの作成と検証」を行うため、4地域(千葉県松戸市、岩手県盛岡市、大分県別府市、長野県須坂市)を対象地域として、医療福祉職(在宅医、訪問看護師、ケアマネジャー、ホームヘルパー、調剤薬局薬剤師の5職種)を対象者に、利用者を固定した状況下で縦断的に、在宅終末期ケア提供の際の連携の取組みの実態(在宅看取りの経験と力量、研修参加状況、地域連携会議の参加状況、情報共有に関する頻度、手段、時間、労力の状況、医療面と生活面の職種間のリーダシップの発揮状況、退院直後~看取り直前までの連携を取るタイミング等)、有用なチーム連携を行うための各職種における役割分担、利用者の疾患や家族介護状況等の特徴、アウトカムとなる在宅看取りの実現、再入院の回避、利用者満足度)について把握する縦断調査を行う。そして、これら3年間の成果をエビデンスとして、我が国の実情に見合う“地域を単位とした終末期ケアの充実のための多職種連携ツール”を提案する予定である。 以上の最終年度の3年目に行う研究実施に関しては、共同研究者および対象フィールドとの協力体制も整っており、順調に進展できる予定である。
|