2011 Fiscal Year Annual Research Report
ユーカリ林を組み込んだ土地利用連鎖系による持続的土地利用の実証と体系化
Project/Area Number |
23401003
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田瀬 則雄 筑波大学, 名誉教授 (40133011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 勤 筑波大学, 生命環境科系, 准教授 (80304369)
林 久喜 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70251022)
田村 憲司 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70211373)
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Keywords | ブラジル / 持続的土地利用 / 調和型農林水産 / 土地利用連鎖 / 水循環 / 硝酸性窒素 / ユーカリ植林 / サトウキビ |
Research Abstract |
成長速度が著しく速いユーカリの植林が世界の多くの地域で行われ、ブラジルは世界最大のユーカリ植林国となっている。ユーカリは、環境への悪影響-水・栄養塩消費、多様性破壊、発生有害物質などが懸念されているが、ブラジルではほとんど顕在化していない。一方、ブラジル南東部はサトウキビなどの主要産地で、農地での施肥による地下水の硝酸性窒素汚染が顕在化ししつあり、近年高強度の降雨頻度が増加する傾向により畑地からの土壌侵食・流亡も深刻である。本研究は,ユーカリ林の環境・生態学的悪影響などが顕在化していない科学的根拠と影響発現の条件を文献と現地調査で行い、ユーカリの特性を利用し、農地からの栄養塩溶脱による地下水汚染とサトウキビなどの大規模耕作による土壌侵食の防止などを、ユーカリ林の植林地の配置-土地利用連鎖系-、営農方法の最適化により構築することを目的としている。 研究地域として,サトウキビ畑とユーカリ林が隣接し,地下水面が浅いサンパウロ州のRio Claro市郊外とAnhembi近郊のMandacaruの2ヶ所を選定した。調査地一帯はシルト質砂層からなる標高600 m前後の準平原で,Piracicabaでの年平均気温は21.4℃,年降水量は1279mmである。両サイトとも上流側にサトウキビ畑が存在し,下流側にユーカリが植林され,その樹齢はおよそ4年、樹高は15m程度である。両地点に100m x 200mの範囲で,3~8mほどの地下水観測井網を掘削し,地下水位,水質を分析し,表層土壌の理化学特性を分析した。また,周辺地域で湧水,井戸水,河川水なども採水・分析した。サトウキビ畑では施肥による地下水中の硝酸性窒素濃度の上昇,耕作による表土の流亡などが認められたが,ユーカリ林ではその濃度は低く,土壌は保全されていた。また,農耕地が広がる周辺地域の湧水や井戸水の水質は概して良好であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 国内の組織、サンパウロ大学地球科学研究科および農学部との連携など研究組織を整え、8月の現地調査により,研究対象地域を絞り込むことができた。2ヶ所の対象地域では、観測用の浅井戸の設置、水質測定および採水を行った。また、周辺地域の河川水、湧水、井戸水などの測定、採水も行えた。サトウキビ栽培者、ユーカリ植林団体などからの聞き取りなども実施できた。11月には,詳細な土壌調査を実施し、観測井の追加,自記記録計の設置なども行った。また、地主・耕作者からの掘削許可が得られず、繰り越した深井戸の掘削も平成24年5月に実施した。以上のように、3ヶ月遅れたが、当初予定した計画をほぼ遂行できたと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
調査・観測体制がほぼ整ったので、当初の計画に沿って、詳細な水、栄養塩、土壌の観測、分析を行い、ユーカリ林の水・物質循環で果たす役割を明らかにする。また、営農方法などについての現地(聞き取り)調査により,実態および持続可能な管理方法を模索する。 サンパウロ大学側も独自の研究資金の調達を目指しており、観測体制のよりいっそうの充実などが測れる見通しもある。
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Research Products
(4 results)