2012 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカの開発実践における住民組織と開発プロセスの創出に関する研究
Project/Area Number |
23401009
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
荒木 美奈子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (60303880)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 地域開発 / 国際協力 / 地域研究 / アフリカ / タンザニア / 住民組織 / コモンズ論 / 相互作用 |
Research Abstract |
本研究はタンザニアにおける地域開発実践を事例として、諸アクター間の相互作用によって創り出される動的で定性的なプロセスを継続的にモニタリングすることにより、内発性やキャパシティの発現過程を検証することと、住民組織の役割を明らかにしていくことを目的としている。2012年度は、8月9日から9月6日の期間タンザニアに渡航し、ムビンガ県にてフィールド調査を実施した。 ムビンガ県K村の水力製粉機や給水施設を一定の「公共性」を持った資源としてとらえ、資源の利用・管理に関わる組織や規範・制度の変容に焦点をあて調査を行ってきた。今回の調査では、その後の給水施設の利用・管理を巡る状況と水力発電事業の進捗状況について調査を行った。村の中心にある小中学校・診療所・教会には既に電気が来ており、村の収入向上活動として携帯電話やバッテリーへの充電サービスが始まるなど変化がみられていた。これまでも村の事業に中心的に関わってきた住民組織「セング委員会」は、水力発電事業においても推進母体となり力を発揮していた。こうした農村電化に向けての動きが進む一方で、各世帯への費用負担が大きいことから、電化に対して村内で温度差がみられた。K村での住込み調査に加え、農業省等でもインタビューやデータ収集を行った。 また、過去10年程の研究と実践活動の成果を地元にフィードバックするために、2011年の調査時にワークショップを実施した。帰国後、スワヒリ語の報告書(Kurosaki, R, D.Mhando, M.Araki, S. Nindi, WARSHA: Mpango wa Kutembeleana Kindimaba na Kitanda(タンザニア・ムビンガ県における地域開発実践に関するワークショップ報告書)pp.40. 2012年)を作成し、2012年の訪問時に農民や関係省庁・機関に配布した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンザニアでのフィールド調査は2年続けて順調に実施できているが、論文執筆が当初の予定より遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、タンザニア・ムビンガ県における開発実践の試みを対象とし、主に1)内発性やキャパシティの発現過程と形態、2)コモンズ論としての資源利用と管理、3)開発実践における住民組織の役割とインフォーマルな組織との関係性、4)外部要因との関係に着目し、諸活動を継続してモニタリングしてきた。H25年度も、8~9月にかけてタンザニアに渡航し、現地調査を実施する予定である。給水施設の利用・管理や水力発電事業の進捗状況、流域や村内の環境保全、流域の環境保全を巡る近隣の村々との関係などに焦点をあて、住民組織や農民からの聞き取り調査を行う予定である。外部要因との関係をみるうえでは、コーヒー経済の村へのインパクトを観察したい。 今年度はフィールド調査等で得られたデータを基に、論文執筆と学会等での報告に力を入れたい。
|