2011 Fiscal Year Annual Research Report
パプアニューギニアにおける熱帯林の環境変化とギデラ地域住民の狩猟採集耕作生活
Project/Area Number |
23401015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
河辺 俊雄 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (80169763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
口藏 幸雄 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (10153298)
須田 一弘 北海学園大学, 人文学部, 教授 (00222068)
山内 太郎 北海道大学, 医学部, 准教授 (70345049)
小谷 真吾 千葉大学, 文学部, 准教授 (90375600)
萩原 潤 宮城大学, 看護学部, 准教授 (90347203)
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Keywords | パプアニューギニア / 狩猟採集耕作民 / 弓矢 / 集団猟 / 人類生態学 / 焼畑 / サゴヤシ / 熱帯林 |
Research Abstract |
ニューギニア島のほぼ中央部の南岸地域に位置するオリオモ台地には熱帯モンスーン林や疎林などの豊かな自然が残っている。さらに草原や蛇行する川,網目状に入りくんだクリークによって複雑な地形をつくり,きわめて豊かな動物相を保っている。そこは「森の民」と呼ばれるギデラの世界であり,森林や草原では伝統的な弓矢猟が行われている。男子は幼少から弓矢で遊び,身近な小動物をとりはじめ,やがては立派なハンターとして成長し,十分な動物の肉を得るようになる。また,多様な自然資源が利用され,サゴヤシの半栽培や焼畑農耕,また河川ではカヌーが使われ,漁撈活動も行われている。 複雑な生態系である熱帯林で生活するパプアニューギニアの狩猟採集耕作民ギデラの人類生態学調査を実施する。1981年から10年ごとに,総合調査を実施してきたが,30年目にあたる今回の調査によって,人口データが蓄積され,高度な人口学的解析が可能となる。活動調査では,新たにGPS付心拍計を利用することで,多数の対象者について同時に,位置や移動量と身体的負荷のデータを取得できる。弓矢を使用した集団猟や夜間の個人猟などの狩猟活動調査を詳細に分析することが可能になり,低湿地で広範囲に行われるサゴヤシ栽培についてもGPS情報はきわめて有効である。この2点は従来全く行うことができなかった調査研究であり,学術的にきわめて独創的な特色を示し,今後もギデラの人類生態学研究は高く評価されると予想される。 研究代表者と5人の研究分担者は,パプアニューギニア国西部州のギデラを対象に人類生態学的調査を実施するため、平成23年度には予備調査を行った。パプアニューギニアの中央政府や州政府および現地有力者と情報交換をし、調査対象村落に近い都市ダルーにおいて治安状況を調べ、村落住民の現況についても多くの情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は予備調査であり、パプアニューギニアの中央政府や州政府および現地有力者との情報交換は予想以の成果をえられたので、次年度以降の本調査は支障なく実施できると予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降には,4項目の調査を実施する:(1)適応戦略の現状と変化(人口センサス,食物・栄養調査,生活時間調査,身体計測),(2)自然環境の現状と変化(リモートセンシング,環境利用形態の調査,.生産性調査,民族知識調査),(3)社会環境の現状と変化(社会組織の地理的分布調査,経済政策や社会政策に関する調査,他集団との関係に関する調査),(4)社会経済状態の現状(クオリティ・オブ・ライフ指標の測定,経済的指標の測定)。なお,GPS付心拍計を用いる活動調査は,(1)の生活時間調査の一部として実施する。
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Research Products
(5 results)