2012 Fiscal Year Annual Research Report
中国黒龍江省におけるモンゴル族コミュニティーの言語維持保存や継承復興への取り組み
Project/Area Number |
23401023
|
Section | 海外学術 |
Research Field |
Linguistics
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
包 聯群 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 客員研究員 (40455861)
|
Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2016-03-31
|
Keywords | 言語維持 / 言語継承 / 継承言語 / 言語政策 / 言語接触 / モンゴル語 / 少数言語 / 国際情報交換・中国 |
Research Abstract |
平成24年度、現地調査を行い、また関連する研究の動向を把握するため、国際ワークショップを開催した(詳細はhttp://tagengosyakai.sakura.ne.jp/xoops/html/modules/news/article.php?storyid=204を参照)。 1.調査研究 黒龍江省泰来県におけるウンドル村などを中心に言語実態と言語維持状況の調査を実施した。その調査では、泰来県モンゴル族中学校の生徒たちを対象にモンゴル語習得のプロセスの観察、記録を行った。同時にメタコミュニケーションを含めた関連する知識や行動(モンゴル語教育に関連する会議、現場教師の動向など)の情報も収集した。さらに当該コミュニティーと連携を取り、今使用している言語を如何に継承していくかなどの、言語環境の育成について話し合いをした。現場で働いているモンゴル語教師に教科書の作成を提案し、「音標記」の注意点についても提言を行った。 2.国際ワークショップの開催 『現代中国における言語政策と言語継承―少数言語について考える』をタイトルとし、2012年12月3日に本科研としての第二回目の国際ワークショップを主催した。本会議において、私は、「中国黒龍江省におけるモンゴル人の言語特徴と言語継承の動向」というテーマで報告を行った。その際、内モンゴルから「言語政策と言語継承関連」を研究している研究者2名を招聘した。中国の少数民族に対する言語政策とその言語継承に関して、中国社会科学院の黄教授が講演を行い、日本からも何人かの先生方が参加し、発表を行った。本ワークショップを通じて、研究者たちと意見交換ができる一方、中国で使われていない「継承言語」という概念を発信することもできた。さらに日本および中国の少数言語についての言語維持・言語継承の実態、研究動向をある程度まで把握することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は23年度、24年度にわたって現地調査を実施してきた。現在まで、ほぼ当初の計画通りに進行している。23年度には、黒龍江省全地域におけるモンゴル語教育の実態を把握でき、中国言語戦略研究センター長の徐教授(南京大学)と研究の打ち合わせをし、中国の言語戦略研究の動向を把握することができ、関連するデータの収集もできた。そして、ドルブットモンゴル族自治県にて、モンゴル語習得プロセスを確認するため、モンゴル語の授業に参加した。また、同地域に関するメタコミュニケーション情報も収集した。さらに黒龍江省モンゴル語教育の責任者、黒龍江省教育学院のUyun教授の協力を得て、モンゴル人が集中し居住する地域においてモンゴル語教育を実施する努力をしている。 関連資料の収集と同分野の研究者と意見交換などを行い、研究動向をある程度まで把握することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度は、黒龍江省肇源県、「和平牧場」五家子村に居住するモンゴル人を中心に、コミュニティー言語の実態を調査する。また黒龍江省モンゴル語教育の責任者と連絡を取り合い、モンゴル人コミュニティーと共に言語継承の努力をし、モンゴル語を教える学校の維持や拡大のため、現地の人々と連携して取り組んでいきたい。さらに本科研の連携研究者とも意見交換を行い、研究を円滑に進める最善の方法を探る。これからも地道な調査と努力が必要と考えている。
|
Research Products
(11 results)