2013 Fiscal Year Annual Research Report
北東ユーラシア少数言語の電子アーカイブ環境構築とドキュメンテーション研究
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23401025
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
長崎 郁 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (70401445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永山 ゆかり 北海道大学, 文学研究科, 助教 (20419211)
小野 智香子 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 特任研究員 (50466728)
大矢 一志 鶴見大学, 文学部, 教授 (80386911)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ロシア / シベリア / 北東ユーラシア / 言語学 / 少数民族言語 / 言語ドキュメンテーション / 記述言語学 |
Research Abstract |
本研究は、北東ユーラシアの少数民族の言語の現地調査による言語情報の多角的記録(語彙、文法、多様なジャンルの語りや会話を含む談話テキスト、社会的・文化的背景を文字、音声、映像によって記録すること)、言語データの整理・分析、コンピュータ上での保存・利用のための電子アーカイブ環境構築を目的として行うものである。平成25年度に進めた研究活動とその成果は次のとおりである。 1.長崎は、ロシア、トムスク州での現地調査により、セリクープ語の基本文例と動詞の不定活用と定活用についての資料を収集した。コリマ・ユカギール語に関しては、名詞項(主語・目的語)のマーキングの分析と、昨年度にひきつづき動詞屈折形式の用法についての分析を進めるとともに、テキスト資料へのアノテーションに反映させた。 2.永山は、アリュートル語の母語話者を招聘し、音声資料の文字化と動詞の自他分類および抱合について聞き取り調査を行った。文法研究の面では、所有接辞の用法に関する再考と自他両用動詞、複統合性についての考察をまとめた。 3.小野は、イテリメン語の文法書をまとめるため、これまでに行ってきた自身の研究の見直しを中心に今年度の研究活動を行った。この見直しに基づき、ロシア、カムチャツカ地方での現地調査では、これまでに得られた資料の母語話者への確認、補足的な文例の収集を行った。 4.大矢は、言語資料のデータ構造に関する研究を進めた。また、DocEng2013(イタリア、サンタ・アポロニア講堂など)に参加し、音声・実データと符号化データ(テキストデータ)との関連性に注目した研究およびデータ構造と管理方法に関する知見を深めた。 5.プロジェクトメンバーによる辞書およびテキスト資料の記法とFLEx(アノテーション付与および辞書構築のためのソフトウェア)の使用法について情報交換と、音声付きテキストのオンライン公開のためのシステムづくりを進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査によるセリクープ語、アリュートル語、イテリメン語の新たな資料収集および母語話者への聞き取り調査は当初の予定通り進められている。また、収集した資料の分析と整理、それと連動した文法研究、言語ドキュメンテーション研究をメンバー各自が行い、研究開始年度から3年間の間に、学術雑誌への投稿論文や学会発表などの形で一定の量の成果を発信することができた。メンバー間での研究連携も定期的な情報交換を通じて図られている。したがって、本研究課題は全体として計画通りに進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究最終年度にあたるため、資料の収集と分析を進める以上に成果公開に重きをおいて研究を進める必要がある。国内外での学会発表、学術雑誌への投稿に加えて、最終的には言語資料を成果報告・データベースとして公開することを目指したい。
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Research Products
(15 results)