2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23401033
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
津村 宏臣 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (40376934)
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Keywords | 文化遺産情報 / 考古学 / 先史学 / 海洋民族学 / 文化人類学 / 時空間情報システム / GIS / イスラーム文化 |
Research Abstract |
本年度は、オマーン国において2度の現地調査を実施した。まず、沿岸域と対比されるべく内陸域において、ニズワを中心とした地域で文化遺産基礎情報収集踏査を実施した。イスラーム期における、内陸域への交易ルートを確定するための調査であり、古地理復元とルート評価を景観分析などから実施した。また、沿岸域においてはラスアルハッドから北岸域において分布調査を実施し、新たに2地点の貝塚遺跡を調査した。この中で、出土石器の形態から、東岸域貝塚の主担者である先史海洋民族が、北岸域の石材環境に適応する形で石器製作技術を変化させることの証左となる新たな資料を検出した。併せて、オマーン国における北東岸地域(ソファール地域)の調査権を取得し、広域の分布調査を実施した。 インドにおいては、1度の現地調整を実施した。グジャラート州における沿岸域を視察し、調査研究の対象域となるエリアを選定した。また、カウンターパートとなる研究機関と共同研究に関する申し合わせ内容の調整を行い、2012年度以降の現地踏査に関する準備を進めた。 併せて、国内においては、オマーン国における文化遺産情報の基盤構築、インドインダス文明期の沿岸域(グジャラート州)に関する文化遺産情報収集とその情報化を進めた。原材、WebGISを基盤とした情報技術にこれらの情報を集積し、データベースとして構築が終了している。なお、2012年度は、オマーン国におけるGIS研修(遺産文化省職員対象)を委託されており、これも実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたオマーンならびにインドにおける現地調査ならびに現地カウンターパートの確定、共同研究申し合わせが実施できた。計画通り、本年度はインド、およびモルディブを対象とした現地調査の拡大を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、申請書に記載したイエメンでの現地調査が、イスラーム地域全域における国勢状況の悪化から難しい現状にある。特に、東沿岸域は南部では、アデン湾に面した対岸のソマリア側で海賊活動なども活発化しており、現地調査の実施は当面困難と考えられる。 そのため、オマーン最南端ズファール地域のサラーラでの現地調査の準備を進めており、すでにボローニャ大学など本地域で専攻して調査を進めている大学と連携し、情報収集を開始している。今後、イエメンおよびソマリアなどでの国勢状況の良化があれば、随時、イエメンでの調査準備を開始する予定である。
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