2012 Fiscal Year Annual Research Report
タンザニア北東部の農村生計に関するスケール・ギャップを考慮した地域システム分析
Project/Area Number |
23401036
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 元 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (10241514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池野 旬 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (40293930)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 地域システム / 農村生計 / 空間スケール / 土地利用 / 国際情報交換 / タンザニア |
Research Abstract |
①昨年度に検討を進めた局所空隙性解析の手法を,タンザニア北東部の衛星画像に対して適用し,解析に用いる単位空間の大きさと空間解像度を変化させながら画像特性を検討した。そして,解析におけるこうしたスケーリングの効果について学会発表した。メル山地域については,この解析が,「高輝度を示す家屋・敷地」と「それを囲む低輝度のバナナ・コーヒー混作地」のセットを始めとして,数種類の景観テクスチャを抽出できること,そして,これらの景観テクスチャの面積比率の差によって,画像内にいくつかの地域を見分けることができることがわかった。また,もう一つの研究対象地域である北パレ山塊地域についても衛星画像を入手し,同様の手法によって景観テクスチャの抽出および農業景観の地域差を把握するための準備を進め,またメル山地域との共通点と相違点を検討するための方法について検討した。②農業景観テクスチャの基本要素の一つであるバナナ・コーヒー混作地とそれ以外の土地利用(樹林地や季節作物耕地ほか)を衛星画像によって見分ける作業を進めるために,北パレの山間地域において比較的広域にわたる地表検証作業を行い,とくに点在する混作地のGPS位置計測を行った。③また,北パレ地域の混作地の一事例について方形区を設定して植栽位置と密度を計測し,コーヒー減産とバナナ栽培の実態について把握するとともに,土地利用変化と世帯生計の間の中長期的な関係の動態と,その背景にある社会経済的メカニズムに関する聞き取り調査を始めた。④二次統計資料によれば,北パレ地域では人口の山麓ほかへの移動が生じており,人口動態と土地利用の粗放化の関連を指摘する研究もある。地域システムにおける人口動態と衛星画像で把握できる農業景観変化の間に関連があるかどうかを,分析の空間スケールを変えながら検討することが,スケール・ギャップを考慮した分析の次の課題として明確となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に導入を検討した空間スケーリングを考慮した方法論を用いてえた成果を学会発表するに至ったこと,またスケール・ギャップという本研究のテーマを検討するのに不可欠なミクロ・スケールでのフィールドワークを進めることができたこと,そして最終年度に向けて,スケール・ギャップを考慮した地域システム分析を行うための具体例として人口動態と土地利用変化の関連性を問う視点を明確にしえたことを踏まえると,本研究の進展はおおむね順調であると自己評価することができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的に,研究計画や用いる方法論に大きな変更はない。前年度に行ったメル山地域での分析に引き続き,もう一つの研究対象地域である北パレ山塊地域について,局所空隙性解析を用いた農業景観把握を行い,両地域の農業景観構成の地域性について検討する。また,とくに北パレ山塊地域については,地域システムにおける人口動態と農業景観変化(土地利用変化)の関連性の有無について,空間スケールを変えながら検討する。その際,前年度に引き続き,バナナ・コーヒー混作地のミクロな事例研究を継続し,分析結果のスケール・ギャップについての理解を深める。
|
Research Products
(2 results)