2011 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的関係に拘束されない親子関係についての国際比較研究
Project/Area Number |
23401044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
出口 顕 島根大学, 法文学部, 教授 (20172116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 佳美 島根大学, 法文学部, 准教授 (80335546)
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Keywords | 文化人類学 / 社会学 / 国際養子縁組 / ステップファミリー / 生殖補助医療 |
Research Abstract |
今年度は海外調査に先立ち、連携研究者の上杉富之成城大学教授と石原理埼玉医科大学教授とともに、同性婚、提供配偶子による生殖医療なども視野に入れて、研究計画を検討した。また国際比較分析のため、日本国内で養子縁組支援に関わる家庭養護促進協会神戸事務所を片岡が訪問し、日本の養子縁組の事情について情報収集した。 海外調査では、まず片岡がフィンランドにおいて、中国から子どもを養子縁組した女性と、海外・国内の養子縁組後の家族について実践的な研究を行なっている専門員にインタビューした。 出口はスウェーデンで国際養子家族および国際養子縁組を申請している夫婦にインタビューした他、石原とともに、過去にインタビューした国際養子家族のフォローアップ調査を行った。片岡のフィンランドの事例も含めて養子縁組を行なおうとする人たちの動機は決して同じではなく、シングルの女性でも養母になっていたり、不妊でなくとも人道主義的観点から国際養子をもらおうとする夫婦もいることがわかった。 また出口と石原は、スウェーデンのヨテボリ大学で子宮移植の研究の現状について、スコーネ大学マルメ病院で提供配偶子による生殖医療の現状について、調査した。後者では、精子提供で生まれた17歳の男の子が提供者情報を求めてきており、これが1985年の人工受精法施行以来スウェーデン国内で二例目にあたることがわかった。 今年度終わりには、国際養子を拠出する韓国でも調査を行うことができた。出口、片岡、上杉は、韓国で親のいない子どもを海外に斡旋する活動をしている福祉団体、養子として海外に送り出された子どもが出生国を訪問するための支援を行なうNPOを訪問した。どちらにおいてもシングル・マザー支援の重要性が課題とされていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、スウェーデン、フィンランドの関係機関や団体、また国際養子家族を訪問・調査することができ、来年度以降につながる研究見通しが得られた。当初予定していたアイルランドを訪問することはできなかったが、韓国の国際養子縁組斡旋団体を訪問でき、養子を送り出す側の国の事情の概略を把握できた。以上の理由からおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず次年度も今年度同様、国際比較という研究目的のために、複数の国で国際養子縁組家族へのインタビュー調査を継続するとともに、養子の拠出国も訪問し、国際養子縁組に至った背景を調査する。さらに日本での国内養子・国際養子の現状をより細かく把握する。25年度以降は、ステップファミリーの調査を進め、それらを踏まえて、生物学的関係によらない親子関係について理論的見通しを得るための仮説を構築することをめざす。
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Research Products
(7 results)