2011 Fiscal Year Annual Research Report
写本の分布から見る西スマトラのイスラームに関する基礎研究
Project/Area Number |
23402006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 由美 大阪大学, 世界言語研究センター, 講師 (80376821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 亨 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 教授 (90274810)
新井 和広 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (60397007)
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Keywords | イスラーム / 文献学 / インドネシア / 東南アジア |
Research Abstract |
平成23年度は、まず9月に、インドネシアの国立アンダラス大学文学部講師陣の協力によって、西スマトラ南部のシジュンジュン地区において、イスラーム礼拝施設(スラウ)に保管されているイスラーム写本について基礎データ(書誌情報、写真)の収集をおこなった。基礎データは、エクセルに入力し、写真はすべてのページをデジタルカメラで撮影し、ハードディスクに保管した。これらのデータを一度、アンダラス大学(パダン)に持ち帰り、カタログを作成するために、調査参加者の間で、各写本の読解の担当を決め、各研究室に持ち帰った。読解の結果は3月に一度、研究代表者である菅原のもとに集められたが、来年度夏に、アンダラス大学でその調査結果を調査者全員で検討することになった。 シジュンジュン地区では、改革派イスラーム・グループであるムハマディヤが勢力を伸ばしているために、かつて西スマトラでさかんであったイスラーム神秘主義の内容を含む写本はスラウの奥にしまい込まれ、人の目に触れないようになっていた。しかし、その内容は、非常に多様で、これまで実際の文字資料を使って十分に研究されてきていないスマトラ神秘主義信仰を研究する上で非常に興味深い資料となっている。マレー語の写本が数多く発見されたこと、またスマトラ北端のアチェとのつながりが非常に強いことがそれらの写本から明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに予定調査地において、調査をおこなうことができた。写本の読解についても、当初の予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、西スマトラ、ミナンカバウ地域各地のイスラーム礼拝所等に保管されているにイスラーム写本の書誌データ等を収集し、最終成果であるカタログの内容を増やしていく。今年度の調査地は、パサマン地区を予定しており、イスラーム神秘主義や詩歌を内容とする写本収集が予測されている。ただし、アンダラス大学研究者との検討の上、さらに調査地を増やすことも検討する。また、今年度は、調査終了後、昨年度おこなったシジュンジュンでの調査結果との比較をインドネシア及び日本でおこない、調査最終年度である来年度の調査地および調査内容と最終成果であるカタログ収録方法の検討を含めた研究会とする。
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