2011 Fiscal Year Annual Research Report
タイに陸路で渡ってきた南アジア系及びミャンマー系移民:地域研究の新たな地平を拓く
Project/Area Number |
23402009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
高田 峰夫 広島修道大学, 人文学部, 教授 (80258277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80272441)
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Keywords | タイ / 南アジア系移民 / ビルマ(ミャンマー) / 陸路でのつながり / 移民労働者 / 移民政策 / バングラデシュ / ネパール |
Research Abstract |
本研究は、ビルマ(ミャンマー)を経由してタイに流入・定着している南アジア系の人々の、タイへの流入プロセスと、タイ国内での生活実態を解明することを狙いとしている。 研究代表者(高田)が統括する部分では、大きく分けて、1)チェンマイでの南アジア系(現バングラデシュを中心とする地域出身)ムスリム、2)タイ中南部のネパール系住民、3)北部のビルマ系ムスリム、の3グループを対象にしている。本年度は各グループについて、1)ではチェンマイでのインタヴュー調査と故地であるバングラデシュの調査を実施。初めて2つの地域の具体的なつながりを見出すことができたのは最大の成果である。今後は、このつながりの歴史的プロセス、またその現状、これらの点についてさらに追及してゆきたい。2)ではプーケット島のネパール系コミュニティを調査。これまでほとんど知られることのなかった有名観光地でのネパール系コミュニティの実態に触れることができた。また、そこで得られた情報から、ネパール本国でのビルマからの帰還住民の予備調査も実施。ビルマからの帰還住民コミュニティの存在を発見したのは貴重な成果と言える。3)ではチェンマイでのインタヴューをそれぞれ実施したが、予想外の大きな広がりに、今後の調査研究の進め方を再検討する必要を感じた。 研究分担者(藤田)が統括する部分では、中部タイ・ターク県のメーソートにてミャンマー人移民労働者が置かれた状況とそれに対するタイ政府やNGOなどの政策について調査を実施した。主な訪問先は、労働省雇用局、労働省労働福祉・保護局、商工会議所、ワールド・ヴィジョン(NGO)、メータオ・クリニック、タイ産業連盟、Social Action for Women(NGO)、Yang Chi Oo協会(NGO)であり、その他にミャンマー人労働者2家計に対するインタヴュー調査を実施した。南部タイのラノーンに比較すると、ミャンマー人移民労働者やその家族が比較的緊張感を持たずに生活しているのが印象的であった。自営業従事が事実上、認められていることも、ラノーンとは大きく異なる点であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでにチェンマイ調査ではインタヴュー等も進み、バングラデシュ系の祖先の出身地について情報も集まり始めている。また、ネパール系に関しては幾つもの新事実が発見された。ビルマ系ムスリムについても、徐々に聞き取りが進んでいる。ビルマ人労働者に関する調査も、当初、計画していた調査を順調に進めている。いずれも、今後の調査に期待が持てる内容である。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ当初計画の通り進んでいるので、申請当時に計画した研究計画に沿って今後も調査研究を継続する。ただし、2011年度もすでにこれまでその存在が知られていなかったプーケット等におけるビルマ人コミュニティの存在を発見し、その調査を実施した。さらに、当初は分からなかったビルマ国内におけるネパール系住民の状況が明らかになり、また、ネパールに帰還したネパール系ビルマ人グループの存在も明らかになるなど、予想外の進展も見られる。このようなプラス面の変更は、今後も続く可能性がある。どこまで手を広げるか、または今後の新たなプロジェクトの必要性があるか、それらの点については、2012年度以降、慎重に検討を行う必要がある。
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Research Products
(2 results)