2011 Fiscal Year Annual Research Report
境界国家・ラオスの生存と発展:政治・経済・社会のアクターと大メコン圏
Project/Area Number |
23402025
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
武石 礼司 東京国際大学, 国際関係学部, 教授 (40412803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多賀 秀敏 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30143746)
高橋 克秀 國學院大学, 経済学部, 教授 (80379502)
吉川 健治 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (30512727)
近藤 久洋 東京国際大学, 国際関係学部, 准教授 (20385959)
森川 裕二 富山大学, 極東地域研究センター, 特任助手 (90440221)
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Keywords | アセアン後発国 / ランドブリッジ(内陸)国 / 社会主義政権の変容 / 境界国家 / グレーターメコン(GMS)圏 / 国際河川 / 政治・経済・社会のアクター / 経済発展と地方自治 |
Research Abstract |
2011年には、内陸国であるラオスに最も注目し、政治・経済・社会の担い手(アクター)の分析を行いながら調査を行った。同国が、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーの5カ国と国境を接しながら、陸封されているという弱みを、逆にランドブリッジと呼ばれる各国との仲介役を果たせる場所にあるという強みに変え、中国・日本等を含め、周辺国からの投資を引き出すとともに、貿易を活発化させ、発展の軌道に入りつつある状況があるのではとの研究仮説を設定した。主たるフィールドスタディとしては、ラオス大学と共同で進めている同国の首都ヴィエンチャン近郊農村、同市の北方約100kmのフアン郡のダム移住村(1,000世帯、約6,000人)、移住村の近傍の旧村(フワン郡ムアンフアン村)等へのアンケートおよびインタビュー調査を実施した。 この調査とそのデータ分析を行うことで、アジアの社会主義政権が如何なる変容を遂げつつあるのか、同国の政治・経済・社会の担い手(アクター)は誰で、それぞれのアクターの立場、その構成と機能を分析する基礎データの獲得が可能となる。 経済発展に伴う行政制度整備の課題、雇用と所得との関係、地域自治の進展と期待度、民族と宗教、家族関係の変化等、地域住民の生の声を集めることで、社会・個別住民の置かれている状況が把握でき、さらに周辺諸国との明確な比較を可能とする基礎データを収集できる。ラオス国内の詳細な分析が存在することで、その分析を敷衍し、比較しながら、グレーターメコン圏の置かれている状況を比較検討し、大陸に位置する諸国と比べた場合の思考様式、対外的な対応における日本の相違点を浮かび上がらせることを目指している。 ベトナム、カンボジア、ミャンマーという後発アセアン諸国、隣国のタイ、中国の雲南省等についても調査・分析を行い、相互の国家間関係についても明らかにするための研究を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年間かけて農村調査に入ることで基礎的情報を収集してきた。農村部が抱える課題と、農業収入・農外収入の概要が、首都のヴィエンチャン近郊と、首都への通勤が不可能な地域の両方において把握できた。農外収入を確保しつつ、農業収入の下支えを得て、ラオスの農村において、「離農」という形でなく、基盤を維持したまま近代化に向かうことが可能かを、農村調査をいっそう綿密に行うことで明らかにする道筋が得られてきつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)諸国の経済発展の可能性を探るため、ヒアリング調査を引き続きラオスを中心として実施する。ラオス以外のCLMV諸国においてもヒアリング調査を実施する。ラオスの発展に関しては、東西回廊、南北回廊の動向に着目する。 本研究のメンバーを中心とし、外部からの研究者も招いたワークショップを開催する。各国の研究機関・大学等において開催される学会等への参加・発表も行っていく。
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Research Products
(11 results)