2011 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムにおける社会的共通資本:「生態村」の実証研究
Project/Area Number |
23402026
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
緒方 俊雄 中央大学, 経済学部, 教授 (20055239)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西端 則夫 中央大学, 経済学部, 教授 (50384730)
|
Keywords | 社会的共通資本 / 社会関係資本 / エコビレッジ(生態村) / GEN (Global Ecovillage Network) / GENOA(GEN for Oceania & Asia) / 生態地域主義(Bioregionalism) |
Research Abstract |
1.従来、「エコビレッジ(生態村)」については、ギルマンやドーソンの定義が活用されてきた。しかし、この定義ではアジアのこエコビレッジの本質を理解することができないことが分かった。当該研究は,「社会的共通資本」と「社会関係資本」に基づく地域共同体(コミュニティ)開発論を統合した拡張モデルを基礎に,「エコビレッジ(生態村)」を再定義し、ベトナムにおける「生態村」を実証的に研究することである。そのため、Global Ecovillage Network(GEN)のアジア支部であるGENOA関係者との意見交換を深め、中国やベトナムの社会主義型エコビレッジ(生態村)とタイやカンボジアの途上国型エコビレッジ、マレーシアのエコツーリズム型エコビレッジを参照しながら、地域間の比較研究を行い、ベトナムにおけるエコビレッジ(生態村)の特徴を解明した。 2.現地実態調査は、社会主義国のベトナムでは現地関係機関の協力を得て行う必要がある。今年度は、国際交流協定校のハノイ国民経済大学(NEU)を中心に,天然資源環境省研究所(ISPONRE),生態経済研究所(EcoEco)の研究協力者と共同研究の同意を得ることができ、「北部山岳地域」と「紅河デルタ地域」の人民委員会の協力を得て「生態村」訪問の許可を得ることができ、生態地域主義(Bioregionalism)を究明した。 3.平成23年5月の「黄金連休」を利用して,「山岳地域」ラオカイ県のTa Van Chu(少数民族モン族の生態村)とAn San生態村を訪問し、現地資料を収集することができた。 4.9月に「紅河デルタ湿地帯」の生態村として,Nam Dinh省Yen Khanを訪問し、社会調査を実施した。 5.11月には「紅河デルタ湿地帯」の二つ目の生態村としてHai Duong県のPhu Dienを訪問し、現地資料を収集した。 6.平成24年3月に「中部沿岸砂地の生態村」を計画したが、フエ大学の研究協力者との日程調整がうまくゆかず、訪問調査ができなかったため、「紅河デルタ湿地帯の生態村」のHai Duong県のPhu Dienを再訪し、社会調査を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ベトナムの生態村が位置する「山岳地域」、「紅河デルタ湿地帯」、「中部沿岸砂地」の3つの地域を訪問し、社会調査を実施する計画であったが、「山岳地域」と「紅河デルタ湿地帯」の訪問調査を実施したものの、研究代表者の体調と研究分担者の訪問日程の不具合で、具体的な社会調査(実証研究)を実施することができたのは「紅河デルタ湿地帯」だけであった。また「中部沿岸砂地」の訪問許可の日程が合わず、次年度にまわした。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、当初、社会的共通資本と社会関係資本の理論研究と「生態村」の実証研究の2段階を想定した。前者の理論研究は順調に進んだものの、実証研究では当初想定したよりもさらに綿密な打ち合わせと方法論の調整、そして現地の理解と協力を必要とした。なぜなら、ベトナムという社会主義国の地域調査では、現地人民委員会の許可を必要とする。そこで国際交流協定校のハノイ国民経済大学(NEU)と天然資源環境相研究所(ISPONRE)の研究協力者に依頼して現地調査の許可をとりつけ、「山岳地域」、「紅河デルタ湿地帯」を訪問調査することができた。しかし「中部沿岸砂地」は、中部のフエ大学を経由して間接的に許可を依頼したため、日程調整が遅れ、年度内には実施ができなかった。さらに現地は、フエ地区から始まり、Quan Tri省、Quan Binh省、Ha Tinh省にまたがり、きわめて広域で同時に訪問調査日程を取ることが困難であることが判明した。そこで、現地研究協力者と綿密な打ち合わせと調査方法を見直すことにする。特に次年度は、この地域の3つの省を特定化し、個別訪問調査ではなく総括調査とし、さらに現地研究協力者の理解と協力を得て実施することにする。
|
Research Products
(3 results)