2012 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムにおける社会的共通資本:「生態村」の実証研究
Project/Area Number |
23402026
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
緒方 俊雄 中央大学, 経済学部, 教授 (20055239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原山 保 中央大学, 経済学部, 准教授 (80055243)
西端 則夫 中央大学, 経済学部, 教授 (50384730)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生態村 / 社会的共通資本 / 社会関係資本 / VACモデル |
Research Abstract |
当該研究は、天然資源環境省研究所(ISPONRE)、国民経済大学(NEU)および生態経済研究所(EcoEco)の研究員の協力を得て、ベトナムにおける「生態村」地理的状況と生態系を考慮して、ベトナム北部山岳地域の「生態村」、紅河デルタ地域の「生態村」、北中部沿岸砂地地域の「生態村」に分類し、主として前者の二つの地域の「生態村」家計調査を実施した。ベトナムは社会主義国であるので、それぞれ現地人民委員会の許可を得て「生態村」を訪問し、各家計に社会調査の質問票を配布し、約80%の回収率を得て、それらを社会的共通資本の理論と社会関係資本の視点から分析した。 その際に、現地のVACモデル(V=果樹園、A=灌漑池と魚育成、C=家畜のベトナム語イニシャルで表した循環型農業モデル)の普及度と地域住民の人間関係(社会関係資本)の密度が「生態村」の運営と村民の幸福度に重要な役割を担っていることを明らかにした。 特に、北部山岳地域の「生態村」では、山岳地域の急峻な地形のために稲作と灌漑池(魚育成)が困難であるが、森林管理やアグロフォレストリーを有効に活用していた。紅河デルタ地域ではハイズオン省とナムディン省にそれぞれ「生態村」がある。ナムディン省の「生態村」は、典型的なVACモデルを実施しており、地域住民が灌漑用水を共同管理し、雨期の水没を防いでいた。他方、工業団地に近いハイズオン省では兼業化が起こり、環境保全への共同化(社会関係資本)が弱体化していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナムにおける「生態村」を北部山岳地域の「生態村」、紅河デルタ地域の「生態村」、北中部沿岸砂地地域の「生態村」の三つの地域に分類して、前者の二つの地域の「生態村」を訪問調査を実施してきた。各地域では全村民世帯の約80%の社会調査票を収集し、共同研究の成果を発表してきている。 しかし、北中部沿岸地域の「生態村」は、ハーティン省、クアンビン省、クアンティ省の沿岸300Kmに散在し、北の首都ハノイおよび中部の都フエの両方からの接近によって、各省の人民委員会の許可を得ながら、訪問調査して社会調査票を回収するにはさらに2013年度の現地調査を必要とするので、これまでの目標達成度は70%といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナムにおける「生態村」の三つの地域のうち、北中部沿岸砂地地域の「生態村」の社会調査が残されており、現地人民委員会に許可を得て訪問調査を実施する計画であるが、現地共同研究者から現地の訪問許可を得たという連絡があり、5月連休あるいは夏季休暇を活用して、北中部沿岸砂地地域の「生態村」訪問調査を実施する予定である。 今年度末には、現地調査の成果を取りまとめ、国際シンポジウム「グリーン経済と生態村(仮題)」を計画している。
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