2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本多国籍企業の「創造型」海外子会社に関する研究:国際比較の視点から
Project/Area Number |
23402039
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
銭 佑錫 中京大学, 経営学部, 教授 (00329658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曹 斗燮 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授 (20262834)
具 承桓 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (20367949)
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Keywords | 国際経営 / 「創造型」海外子会社 / 技術移転 / 国際比較 / 自動車部品産業 / 自動車産業 / 海外拠点 |
Research Abstract |
当初、今年度にはインド・タイにおける日系・欧米系・韓国系の自動車部品企業の現地拠点に対する訪問調査が主な研究内容であったが、東日本大震災とタイの洪水被害の影響によってインド・タイの調査を断念せざるを得なかった。その代わり、夏期休暇には韓国調査を春期休暇には香港・マレーシア・中国調査を行った。さらに日本国内調査も併せて行った。その結果、ボッシュ・コリア、ボッシュ・ジャパン、ボッシュ・チャイナ、マンドの韓国本社と北京研究所、マンドのサプライヤであるFOOSUNG社とHALLASTACKPOLE社の中国拠点、韓国の設備メーカーである大栄機械、広州トヨタ、デンソー広州、デンソー・マレーシア、岐阜車体本社、東風悦達起亜汽車、鄭州日産、などに対する訪問インタビュー調査を行うことができた。特に、本研究において国際比較の対象としているが、これまで情報が手薄であったドイツ・ボッシュ社の韓国・中国・日本の3ヶ国拠点に対する訪問調査を行うことができたのは大きな収穫である。 これらの調査結果については研究会を通じて分析・検討を続けているが、中間段階の研究成果として、韓国の自動車部品企業であるマンドの事例を中心に具が2011年秋の国際ビジネス研究学会中部部会で、ドイツのボッシュの事例を中心に銭が2012年春の国際ビジネス研究学会中部部会で報告している。具の報告では、R&D活動は単純にRとDだけではなく、コンセプト、材料、実験、アプリケーション開発等、幾つかの段階に分けてみるべきであることを指摘すると共に、高パフォーマンスの企業は、開発機能の本社主導である共通点があることを明らかにした。なお、銭の報告では、これまでほとんど明らかにされてなかったボッシュ社の国際経営の実態を明らかにすると共に、本社主導の標準化と本社の圧倒的な製品技術力がむしろ「創造型」海外子会社の成立条件になりうる可能性を指摘している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地域が2012年度実施予定地域と入れ替わる形にはなったが、国際比較を試みている本研究の主な分析対象であるドイツのボッシュ、日本のデンソー、韓国のマンドの中国・韓国・日本における拠点を調査できたのは評価できる。さらに、これらの地域における完成車メーカー、2次サプライヤに対する調査ができたことも評価に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
タイの洪水被害もある程度治まってきているので次年度には今年度に予定していたインド・タイに対する現地調査を進める予定である。なお、メンバー全員での訪問は難しいかも知れないが、ボッシュのドイツ本社に対する訪問調査もできれば実現させたい。さらに、今後は本研究の国際比較のメインの対象の一つである米国デルファイ社の海外拠点に対する調査を優先して行う計画である。研究成果の発表と関連しては、すでに学会で報告を行っているマンドの事例とボッシュの事例を論文としてまとめ、次年度中には査読付きジャーナルへ投稿する計画である。
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