2014 Fiscal Year Annual Research Report
経済危機とトランスナショナリズム:ペルー人の移民戦略をめぐって
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23402043
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
樋口 直人 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (00314831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (40302335)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | デカセギ / 在日外国人 / 日系人 / 移住過程 / 帰還移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、7~9月、12~1月にペルー調査を実施し、90名に対して聞き取り調査を行った。その結果、研究期間全体を通して実施した聞き取りは290件になった。ここから明らかになったのは、以下のとおりである。 ・日本にデカセギに出た時期、並びにペルーに対して投資を行った時期によって、デカセギの効果がまったく異なる。2014年時点でのペルーの不動産価格は、たとえば中間層が住むMagdalena de la Mar地区の新築マンションで1200万円、高級住宅地であるSan Borjaの築25年の中古マンションで2700万円程度になっている。デカセギ帰還者で1000万円以上の貯蓄がある者はほとんどおらず、後者はおろか前者の購入も難しい。ところが、同じ物件がその15年前には4分の1程度で購入できたため、投資時期によっては後者のような物件を持つ者もいる。90年代初頭には、旧市街で100万円程度で購入できる物件もあり、さらにペルーへの投資が意味を持っていた。 ・特にリーマンショックや震災後にペルーに戻った者の場合、2つの点で帰国後の生活に困難をきたしている。(1)日本で十分な貯蓄があったわけではなく、目的達成ではなく日本側の状況悪化によって帰国したため、ペルーでの生活の準備が十分でない。(2)ペルーの物価高騰後に帰国したため、住宅を買うことは困難であり、ビジネスを始めることも容易ではない。 ・同時に、幼少時に渡日ないし日本に生まれて日本で教育を受けた後に、大学進学や語学留学のためにペルーに自発的に渡航する若年層も一定程度存在する。これは、1年目に多く聞き取りした、家族の都合でペルーに渡った非自発的に渡航した若年層とは異なる。こうした相違がもたらす帰結は、まだ時間的経過が十分でないため定かではないが、今後調査すべき論点となる。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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