2011 Fiscal Year Annual Research Report
バンクラデシュにおけるマイクロクレジットと貧困の削減
Project/Area Number |
23402050
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
笠原 清志 立教大学, 経営学部, 教授 (80185743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉沢 宰 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 教授 (20153778)
大橋 正明 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 教授 (20257273)
中村 陽一 立教大学, 法学部, 教授 (40285185)
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Keywords | 社会学 / 政策研究 / 開発 / 貧困 / マイクロクレジット |
Research Abstract |
当研究は、シャプラニール=市民による海外協力の会実施<2001年>を踏襲し、三つの地域においてMCの各階層別の貧困削減効果とコミュティベースでの社会構造の変化の分析を行うものである。インドにおいてはマイクロクレジット(MC)の貸与が、いわゆる貧困ビジネスとなり、多重債務者を生みだしていることを考えると、NGOの当該システムの実施方法について新しい視点からの関心が高まってきている。 2011年度調査においては、3村におけるNGO側、とりわけグラミン銀行サイドのMC実施方法とスタッフ育成についてヒアリング調査を実施した。その際に、NGO管理部およびドナーからの返済率向上への要請から現場のNGOレベルでは極貧層がMC融資対象から排除されていくメカニズムが確認された。 融資対象者の面接からはNGO間で融資対象者を奪い合うところから複数のNGOからMCを受けていること、それに対して有効なチェックシステムが存在していないことが明らかになった。また、MCは必ずしも自立資金のみとして利用されているわけではなく、当面の生活維持のためにも利用されている実態が明らかになった。以上の点を踏まえ、2012年度以降の調査では、3村の融資対象者の定量的調査によって、MCが抱える課題とNGO側のそれへの対応策を明らかにしたい。 以上の研究はMCの貧困削減における可能性と限界を明らかにし、社会階層ごとのより詳細な政策の策定の必要性を明らかにすることでもある。そのためには、グラミン銀行のMCだけではなく、BRACが1990年代から志向してきた包括的な貧困対策を検証することでもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダッカ大学のチョウドリー教授との連携、打ち合わせも順調に進み、最終的な調査票の完成と平成24年度の調査実施スケジュールも確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、バングラデシュ農村における定量的調査と定数的調査の実施がどのように実施できるかにかかっている。基本的には、今年の8月に、日本側とバングラデシュサイドとの共同調査を予定通り実施し、その成果を持って日本にて打ち合わせ会を実施する。
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