2012 Fiscal Year Annual Research Report
米国大学の国際戦略におけるエンロールメント・マネジメント・モデルの研究
Project/Area Number |
23402061
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
福島 真司 山形大学, エンロールメント・マネジメント部, 教授 (50249570)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 立喜 会津大学, 公私立大学の部局等, 助手 (50543170)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | エンロールメント・マネジメント / 高等教育機関の国際戦略モデル / 学生満足度 / 大学マネジメント・システム / 大学ガバナンス |
Research Abstract |
本研究は、世界で最も留学生獲得戦略に成功している米国の大学を中心的な対象とし、留学生獲得の手法、及び、エンロールメント・マネジメント(EM)の観点から、どのように留学生を満足させ、卒業後の関わりを保ち続け、留学生数を増加させ続けているのかということに焦点を当て、大学の国際戦略上のマネジメント・モデルを研究するものである。 そのため、当該年度は、米国を中心とする高等教育機関やコンサルタント会社、英語を第2言語として用い、留学生獲得を行っているバルト3国のラトビア共和国、エストニア共和国の高等教育機関等を現地調査した。当該年度に訪問調査を実施したのは、米国大学では、テキサス州立大学アーリントン校、マグワイア・アソシエーツ社、インディアナ大学パデュー大学インディアナポリス校、ローズハルマン工科大学、ノートルダム大学、インディアナ大学の6校、比較対象として、英語を第2言語として用い留学生獲得を行っているラトビアのラトビア大学、エストニアのタリン大学を訪問し、「留学生獲得のためのマネジメント・システム」「留学生満足度を向上させるマネジメント・システム」「留学生の卒業後の大学への帰属意識を高めるマネジメント・システム」「上記システムを評価・分析するためのデータベースや分析システム」「上記システムのPDCAサイクルを循環させるリーダーシップ等ガバナンス」に関する内容を中心にインタビュー調査を実施した。 基本的に、各機関の上級管理職層にインタビューを行ったが、適宜、留学生に実際に対応するスタッフや留学生にも、インタビュー調査等を実施した。また、ラトビア、エストニアにおいては、ホームステイを受け入れるホストファミリーにもアンケート調査を行い、海外から学生を受け入れることの課題等について、考察を行った。以上により、大学における国際戦略モデルを構築する上で、必要な分析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、東日本大震災の影響を受け、特に前半に当該テーマに関する研究活動が出来ない状況であったが、その困難な状況に学び、本年度は、年度の前半から、積極的に海外調査を実施した。当初は、本年度は、米国の高等教育機関等の訪問のみを予定していたが、米国との比較対象として、英語を第2言語として使用し、国際戦略モデルを打ち立てている北欧バルト3国の2大学とアポイントメントが取れ、教員、学生だけではなく、留学生を受け入れるホストファミリー等にもアンケート調査を実施することが実現し、その意味では、予定以上に順調であったと言える。 一方で、米国において、大学を通じて学生にアンケートを実施する場合、各大学の倫理委員会等の審議を経ることが必要となり、基準は大学によって厳格さの度合いにばらつきがあった。そこで、国際戦略担当の教職員、留学生に対する直接的なインタビュー調査は順調でも、アンケート調査については、いくつかの機関から実現出来ない、あるいは、審査に数ヶ月かかり可否もわからない状態のものもある。この点については、やや遅れているため、全体として、概ね順調に進展しているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、年度初めからアポイントメントを取り、6月に第1回目の調査、8月に第2回目の調査、9月に第2回目の調査と順調に訪問調査を進行できた。ただし、アンケート調査などの進展に困難があった。そこで、平成25年度は、本テーマの最終年度でもあるため、年度前半は、これまでのインタビュー調査の詳細な分析、スタックしているアンケート調査の可否に関する情報収集を行いつつ、調査計画どおりの進展に、環境を整えることを主眼においた活動を実施する。年度後半の11月には、アジア(台湾)の大学における調査を実施し、日本における国際戦略におけるエンロールマント・マネジメントモデルの確立に関するまとめとなる分析を実施する。 なお、研究代表者、研究分担者共に、本務業務において、海外の大学等、高等教育関連機関を訪問する機会が多い。そこで、当該補助金を利用した海外調査の機会以外にも、当該調査を目的としたインタビューを効率的に重ねられる機会を積極的に作ることを予定している。今後は、そういった機会も積極的に利用し、調査を計画以上に進めたい。 当初の調査目的以外に、東日本大震災後の東北の大学への留学に関する意識調査も昨年度より始めており、一定以上の成果を上げられると考えている。
|