2012 Fiscal Year Annual Research Report
デンマークにおける自治体再編の拡大特別ニーズ教育制度への影響に関する研究
Project/Area Number |
23402068
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
眞城 知己 千葉大学, 教育学部, 准教授 (00243345)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
是永 かな子 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90380302)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 自治体再編 / 特別ニーズ教育 / デンマーク |
Research Abstract |
24年度は23年度にひき続き研究代表者及び研究分担者によるフィールド調査を行った。本年度は、自治体再編前に特別学校が比較的多く活用されていた地域である、ノアユラン、ミットユラン及びシェランの各リージョンを主に対象とした。 各自治体の教育担当者に加えて児童教育省における面接調査も実施し、制度動向を確実に把握できるようにした。こうして得られた情報の意味づけのために、現地の研究協力者である、オーフス大学のテトラー教授及びイーエルン教授と収集した情報についての協議を行った。本年度は、さらに、ノアユランにある自閉症児のみを対象にした特別学校を数次にわたって訪問し、自治体再編後の影響について聞き取りを行った。 その結果、以下のことが明らかとなってきた。 まず、デンマーク国内全体で増加した特別ニーズ教育の対象者を減少させるための予算配分方法の変更が導入されようとしていることである。これは、従来PPRに割り当てられていた予算を大幅に削減し、各学校において補助スタッフの雇用のために振り分けるという形であった。この制度変更によって、PPRの担う役割に大きな変化が生じることとなった。 そして通常学校では特別学級に通う生徒の割合を減少させて、特別な指導を必要とする時間が、毎週9時間未満の生徒の場合には、原則として通常学級において教育を受けることとするといった方向性も打ち出された。 一方で、特別学校においては、全体予算の削減に起因した教員削減に困惑する状況もみられた。今後、自治体再編による地方分権の進展が、特別学校制度に与えた影響について、詳細な検討が必要であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
訪問する自治体の数自体は、当初の計画よりも少なくなってしまっているが、予想された以上の展開についての情報が得られたことから、おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では3年間で96市すべてを訪問する計画であったが、予想以上に交通状況の悪さがあり、すべてを訪問できない可能性が出てきた。未訪問のままとなる自治体については、研究助成終了後に自費にて研究を継続して、全自治体からの情報収集を完結させたいと考えている。 交通手段として、事故等を回避するために現在までは公共交通機関を利用してきたが、時間的により効率的な訪問のためにレンタカーなどによる交通手段についても検討する必要性がある。
|
Research Products
(2 results)