2012 Fiscal Year Annual Research Report
電波・赤外線観測による最も進化段階の早い星形成過程の観測的研究
Project/Area Number |
23403001
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Section | 海外学術 |
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
河村 晶子 国立天文台, チリ観測所, 研究員 (30377931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 利和 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30314058)
山本 宏昭 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70444396)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(チリ) / 国際情報交換(フランス、ドイツ、オーストラリア) / 電波天文学 / 星間分子雲 / 星形成 / 近傍分子雲 |
Research Abstract |
宇宙の主要な構成要素である恒星は、星間空間中の低温高密度領域で星間物質が自己重力で収縮することにより形成される。星形成領域は、星間ダストと星間分子ガスが混在する星間物質の奥深くにあり、可視光では見通すことができない。高感度広域観測を得意とする、チリ アタカマ高地に設置されたNANTEN2サブミリ波望遠鏡および、赤外線天文衛星Planck, Herschel衛星による赤外線―電波域の最新データを用いて、我々の銀河系円盤部に存在する星形成領域に対し、星間物質のさまざまな相について物理状態を調べる。そして、赤外線およびサブミリ波データから得られる進化段階の早い若い星の分布や性質を取得し、星形成活動開始時の星間物質の物理状態から、星形成の条件を調べることを目的としている。本年は、 NANTEN2ミリ波サブミリ波望遠鏡に洋裁されたミリ波帯受信機システムを用いて銀河系円盤部、近傍分子雲、大マゼラン雲等の観測を進めた。またケーススタディとして、既存のなんてんによる100GHz帯の銀河系内分子雲の詳細な解析を行い、分子ガスと赤外線データから得られる星形成活動との比較を行っている。また、プランク衛星、ハーシェル赤外線望遠鏡による100ミクロンから500ミクロンでの、銀河面での遠赤外線広域探査が遂行中である。これらによる星間ダストの分布を調べ、原子、分子ガスとの比較を進めている。さらに、既存のあかり、スピッツァーによる点源カタログを合わせ若い進化段階にある星をカタログ化するため、まず遠赤外線点源および点源カタログを作成している。また研究分担者、協力者とともに銀河系内近傍星形成領域に対しアタカマミリ波サブミリ波大型干渉計計画へ観測を提案し採択されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
望遠鏡が設置されたチリ アタカマ高地の悪天候により、装置試験、及び観測計画に若干の遅れがみられたものの、既存のデータの解析および、赤外線天文衛星のデータ処理が、分担者、協力者と共に進められた。一部のデータ公開が進み、分子、原子ガスと、星間ダストとの比較による論文も出版された。また、チリ悪天候のため、アタカマミリ波サブミリ波大型干渉計による観測が年度後半、データ入手が年度末となり、年度末でもデータ解析を進めている段階であるが、質の良いデータが取得されている。
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Strategy for Future Research Activity |
チリアタカマ高地の悪天候は、各観測、特に高周波数での観測に影響し、進捗が遅れる可能性が高い。そこで、既存するミリ波や赤外線の大規模なサーベイによる分子雲や若い星のカタログや星間ダスト分布の情報を充実させ、サブミリ波観測の領域を吟味、選択する。さらに、天候の影響を受けない、天文衛星のデータを十分活用する。
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Research Products
(15 results)