Research Abstract |
宇宙線(粒子線)が宇宙における最も激烈な現象と関連していることは疑いようもないが、1013eVを超す高エネルギー宇宙線の起源はいまだに解明されていない。そこで,本研究では,1016eV以上の宇宙線のエネルギースペクトルおよび質量組成を南米ボリビア・チャカルタヤ山宇宙物理学研究所で測定し,特に,質量組成における急激な変化(銀河系内起源の鉄から銀河系外起源の陽子への変化が期待されている)を観測することにより,銀河系内起源宇宙線のエネルギー上限を確定する。そこで,平成23年度は,観測装置の製作および設置場所の確定を行った。観測装置は,測定容器,光電子増倍管,高電圧装置と測定記録装置で構成され,予算を有効に使うため,できる限り手持ちの物品を再利用し,これを全7台製作した。製作過程においては,各装置の動作テスト,および性能確認を行うとともに,シミュレーション計算で考慮すべき基礎パラメータの測定を行った。また,測定装置を制御するデータ収集ソフトの開発を行い,実機を用いた動作テストを遂行し,完成させた。一方,製作した装置を南米ボリビア・チャカルタヤ山空気シャワーアレイ内に配置する必要があるが,そのために,現地に常定助教(研究協力者)を派遣し,シミュレーション計算によりあらかじめ想定した設置場所の確認を行い,確定した。以上の経過に関して,平成24年3月に研究協力者を含めて全7名を東工大に招集して検討を行い,順調に研究目的が達成されていることを確認した。また,以上の成果は,日本物理学会にて口頭発表し,また,成果の一部は学士論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書記載の内容を,ほぼ達成した。変更箇所は,装置製作台数を5台から7台に変更。これには,できるだけ手持ちの物品を流用することによって達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,23年度に完成した装置を観測現場に移送し,現地で動作確認を行った後,設置を行う。これには,2,3ヶ月を必要とするものと考えている。設置終了後,予備観測を行う。本観測は,次年度以降を予定する。これは,本観測が,月のない晴天夜に行う必要があり,現地が乾期である6月から11月が最適であるためである。
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