2012 Fiscal Year Annual Research Report
原子核乾板による暗黒物質の検出 ーグランサッソー地下の中性子BGの測定ー
Project/Area Number |
23403003
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 光廣 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (90183889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 修 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (20377964)
中野 敏行 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (50345849)
中 竜大 名古屋大学, 高等研究院(現), 助教 (00608888)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 原子核乾板 / イタリア・グランサッソー研究所 |
Research Abstract |
H23年度に立ち上げた極短飛跡の形状認識のための高分解能顕微鏡システムPTSとSpring8のX線顕微鏡システムを用いて、d-d反応からの中性子による反跳原子の検証試験を行った。PTSで読みだした画像に対する楕円フィッティングにより検出できる飛跡の閾値、検出効率、反跳方向の測定精度などをX線顕微鏡で測定した結果とクロスチェックした。結果、検出効率は100nm長の飛跡に対して70%であり、炭素原子の反跳エネルギーにして37KeVが閾値であった。またこれから炭素の反跳原子に対する検出効率は約10%弱と見積もられた。反跳原子の中性子入射軸に対する広がりはσで約32度であり、反跳方向検出に十分なものとなっていることを確認した。 また、現像銀の形状を球状に近くするための現像の開発を開始したが、現像液から銀イオンを供給する型の物理現像では感度がなかなか出ないうえに現像液が不安定であるなどの問題があることがわかり、これに代わる現像手法の探索を開始した。 並行して昨年度グランサッソー地下に設置した原子核乳剤の塗布施設で実際の微粒子乳剤の塗布を行い原子核乾板を作成し、それらを地下と地上に設置して中性子の試験的な検出実験を開始した。さらに検出閾値は上がるが、地下で組み立てられたOPERA検出器の原子核乾板標的を用いた中性子測定について実際の原子核乾板を読みだした解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昨年準備したグランサッソー現地施設ならびに解析装置の定常的運用を行い、グランサッソー現地、日本国内における研究とも順調に推移した。 研究組織もイタリアの共同研究者(ナポリ大学、グランサッソー研究所、パドバ大学)を加えて国際共同研究として組織できてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、飛跡の形状認識の閾値をさらに下げるための光学読み出しシステムの高分解能化と自動化、現像銀の形状を改良するための現像手法の開発、今年度グランサッソー現地に設置した微粒子原子核乾板を用いた中性子測定、またOPERA検出器を用いた中性子測定を推進してゆく。 並行してd-d反応中性子や、イオン打ち込み装置を用いた較正実験を行い、検出効率などの補正係数を求めていく。
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