2013 Fiscal Year Annual Research Report
日独共同・大西洋トリスタンホットスポット下のマントル電気伝導度構造調査
Project/Area Number |
23403005
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 聖至 東京大学, 地震研究所, 助教 (70371721)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マントル / ホットスポット / トリスタン・ダ・クーニャ / 大陸分裂 / 電気伝導度 / MT法 / 海底電位磁力計 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本課題は、トリスタン・ダ・クーニャホットスポット周辺海域における海底電磁気観測、取得したデータの解析および成果公表を、平成23年度から4年間において行う計画である。海底電位磁力計(OBEM)の設置航海は、平成24年1月17日から2月16日にかけて、ドイツの大型研究船R/V Maria S. Merianを用いて行った。地震研究所からは8台のOBEMを持ち出し、IFM-GEOMARと併せて26観測点を敷設した。またナイチンゲール島にも陸上観測点を1点敷設した。回収航海は、再びR/V Maria S. Merianを用いて、平成24年12月27日から平成25年1月21日の日程で実施され、双方の研究機関が持ち出し設置した全てのOBEMとナイチンゲール島の観測装置を無事に回収した。また両航海期間中には、マルチナロービーム測深による詳細な海底地形データも取得した。 平成25年度は、それぞれの研究機関において、持ち帰ったOBEMの時系列データの一次処理およびマグネトテルリック(MT)法に基づく電磁気応答関数の推定を行った。地震研究所のOBEM8台については、データはいずれも良好で、約200秒~1日の周期帯で良好な電磁気応答関数を推定することができた。研究代表者の馬場と研究協力者の歌田は、IFM-GEMARの研究協力者であるDr. M. Jegenを6月16日から一週間訪問し、双方のデータ解析の進捗状況についての情報交換と、今後の解析・公表計画について打ち合わせた。ドイツ側は、解析の担い手となるポスドクの雇用計画に変更があったため、日本側に比べてデータ解析の進捗が遅れている。平成25年度中に両研究機関で解析した電磁気応答関数の確定版を交換する予定であったが、平成26年度に持ち越すことにした。 この間、馬場は北西太平洋下の電気伝導度構造について研究を進め、海洋上部マントルの温度特性について議論した。この結果は、参照モデルとしてトリスタン・ダ・クーニャ海域の議論にも応用できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドイツ側は、データ解析の担い手となるポスドクの雇用計画に変更があり、大学院生が平成26年春の学位取得後にポスドクとなって詳細な解析に着手することになったため、日本側に比べて解析の進捗が遅れている。平成25年度中に両研究機関で解析した電磁気応答関数の確定版を交換する計画であったが、平成26年度に持ち越すことにした。これに伴い平成26年度初頭から開始する予定であった構造解析も、半年程度は順延せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、ドイツ側のデータ解析の進展を待つ間、日本側データのより高度な解析を行う。ナイチンゲール島の磁場観測データを参照点として用い、約20秒から200秒の周期帯の電磁気応答関数の推定精度向上に取り組む。この結果はドイツ側にフィードバックする。また構造解析の事前準備を進める。観測航海で取得した観測点近傍の詳細な海底地形データをコンパイルし、電気伝導度構造モデルに組み込めるよう処理をする。3次元構造解析は高度な計算能力が必要であるので、最新の計算機を購入する。全観測点の電磁気応答関数が揃ったら直ちに構造解析に取りかかる。 ドイツ側とは電子メールで緊密に情報交換を行う。また8月末にワイマールで開催される国際ワークショップには、研究代表者の馬場とドイツ側研究協力者のDr. M. Jegenがともに出席し、直接会って成果の交換と平成26年度後半の研究計画を打ち合わせる。進捗状況と双方の都合を勘案した上で、条件が合う時期に馬場が IFM-GERMAR に短期滞在して、ドイツ側と協力して解析結果のとりまとめと解釈を行うとともに、論文を執筆する。
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Research Products
(9 results)