2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23403016
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
有馬 眞 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (10184293)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マダガスカル / カーボナタイト / ゴンドワナ超大陸 / マントル交代作用 |
Research Abstract |
マダガスカル南部の原生代変成帯に分布するベラケタ剪断帯には“炭酸塩岩”が産出する。これら“炭酸塩岩”は、石灰岩質堆積岩が高温変成作用を蒙り形成された大理石と考えられてきたが、本研究で行った野外地質調査により“炭酸塩岩”の一部が雲母岩や超塩基性岩と密接に伴うマグマ起源カーボナタイトであることが明らかになった。 カーボナタイトの生成プロセスを検討するためH23年度および24年度に野外調査をそれぞれ4週間行い、その分布範囲を明らかにした。岩石試料を採集し全岩化学組成の評価を行った。さらに、雲母岩や超塩基性岩に含有される雲母試料についてカリ-アルゴン法による年代測定を行い、約4億7千万年の年代値を得た。得られた年代値は、貫入母岩である変成岩類の形成年代(約5億5千万年)に比較し有意に若い値である. カーボナタイトに含まれる炭酸塩鉱物の起源を解明するため炭素および酸素安定同位体分析を行った。これらのデータから、マダガスカル南部高温温変成帯中には、堆積岩起源大理石とマグマ由来カーボナタイトの両者が分布することが明らかになった。後者は、マントル起源カーボナタイトマグマに特徴的な炭素および酸素安定同位体組成をもち、超塩基性岩、黒雲母岩、燐灰石鉱床と密接に付随して分布する。マダガスカルのカーボナタイト類と比較検討するため、インド北西部南プルリア剪断帯に沿って産出する原生代スシナカーボナタイトの調査を行い岩石学的評価を行った。マダガスカル南部のカーボナタイトは幅数km、延長約100kmに及ぶ剪断帯に沿って産出しており、後期原生代に起こった東西ゴンドワナ大陸の衝突後にカーボナタイトマグマが剪断帯に沿って広範囲で活動したことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マダガスカル南部における地質野外調査は、天候に恵まれ当初の計画通り行うことができた。ベトロカ地域からベキリ地域までの約100kmにわたる広い地域にカーボナタイトの分布を確認した。採集した岩石試料の化学分析、同位体分析およびカリ-アルゴン法による年代測定を行い多くのデータが得られた。これらのデータから、カーボナタイトの炭酸塩鉱物は、マントル起源カーボナタイトマグマに特徴的な炭素安定同位体をもち、超塩基性岩、黒雲母岩、燐灰石鉱床と密接に付随して分布することが明らかになった。黒雲母K-Ar法による放射年代測定から約4億7千万年の年代値を得た。これら炭酸塩岩は幅数km、延長約100kmに及ぶ剪断帯に沿って産出しており、後期原生代に起こった東西ゴンドワナ大陸の衝突後にカーボナタイトマグマが剪断帯に沿って広範囲で活動したことが明らかになった。今年度の調査および分析により、本研究の目的である、マダガスカル南部超高温変成帯中に認められる炭酸塩岩がマグマにより形成されたカーボナタイトであることが検証された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、カーボナタイトとそれに付随する超塩基性岩、雲母岩の岩石成因論的解析をさらに進める。Rb-SrおよびSm-Nd同位体組成分析を行い、これら岩石類のマグマ起源物質を評価する。これら岩石類の鉱物学的、地球化学的特徴を評価し、起源マグマの岩石学的および地質年代学的解析を進める。また、これら岩石類の希土類元素やニオブなどレアメタル鉱床としての潜在性を評価する。研究成果を国内外の学会で発表し学術論文にまとめる。
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Research Products
(11 results)