2011 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカにおける飲料水中の高濃度フッ素の現状把握と鳥骨炭による除去
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23404003
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
川上 智規 富山県立大学, 工学部, 教授 (10249146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹川 裕加 富山県立大学, 工学部, 嘱託研究員 (50598977)
袋布 昌幹 富山高等専門学校, 専攻科, 准教授 (50270244)
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Keywords | スリランカ / 井戸水 / フッ素 / 鳥骨炭 / 腎臓病 |
Research Abstract |
22年の予備調査ではAnuradhapura地域のSurijagama地区にとどまっていた井戸水中のフッ素濃度調査を、23年度にはAnuradhapura地域でも特に腎臓病が多発しているとされるMadawachchiya地区ならびにMaragahawera地区に拡大し実施した。また、スリランカ側の研究者により、スリランカ海岸部のPuttalam、Mannar、Jaffna、Trincomalee、Batticaloa、Hambantotaの各地域においてもサンプリングを実施した。これらの結果から、やはりAnuradhapuraのフッ素濃度が最も高く、スリランカ北部中央のAnuradhapuraから東海岸のTrincomalee地域にフッ素の高濃度地域が広がっていることが明らかとなってきた。これは腎臓病が多発しているとされる地域とほぼ一致する。調査を終えた井戸のうち飲用に適さない井戸には応急対策としてマーキングを施し住民に周知した。 フッ素除去法に関しては、鳥骨炭による除去法の確立を目指している。炭化温度に関して最適条件を実験室レベルで探索した。その結果、600℃が炭化温度としては最適であるという結論が得られた。それ以下の温度では有機物が処理水に溶け出すことによって着色があり、飲用としては不適であった。また、それ以上の温度ではフッ素の除去速度が低下した。ハイドロキシアパタイトの結晶の高度化が原因と考えられる。 現地の家庭レベルではガスが無く、600℃という温度を作り出すことは困難である。従ってコミュニティレベルで骨炭を製造し、各家庭に配布するという手法が現実的ではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに現地調査(3回)を実施できた。これに加えて現地研究者のみによる調査も実施でき、スリランカ全体のフッ素濃度の地理的分布が明らかになってきた。鳥骨炭の製造法に関しては、実験室レベルでの最適条件を探ることができた。今後は、現地で実際に製造する手法を考案する。
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Strategy for Future Research Activity |
フッ素濃度の現地調査に関しては、現地研究者によるサンプリングが行えるようになり継続して推進できる。本年度はサンプリングのみならず、フッ素の分析まで現地スタッフで行えるようにすることを目指す。鳥骨炭によるフッ素の除去に関しては、現状では飲料に適する濃度にまで低下させるのには長時間(3時間程度)を要する。この時間を短縮するために水温や粒度を変化させたが除去性能にはほとんど影響が見られなかった。フッ素の除去が単なるイオン交換反応では無いことを示唆しており、反応のメカニズムを見直す必要がある。製造法に関しては、現地で実際に製造する手法を考案する必要があるが、ヤシガラ炭用の炭化炉あるいはレンガの焼成炉を流用できないかなど検討を進める。
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Research Products
(3 results)