2012 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカにおける飲料水中の高濃度フッ素の現状把握と鳥骨炭による除去
Project/Area Number |
23404003
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
川上 智規 富山県立大学, 工学部, 教授 (10249146)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
袋布 昌幹 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50270244)
芹川 裕加 富山県立大学, 工学部, 研究員 (50598977)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | スリランカ / フッ素 / 鳥骨炭 |
Research Abstract |
スリランカ北部中央州のAnuradhapura地域では地下水に含まれる高濃度フッ素による斑状歯が多くの住民に見られ、また腎障害が多発しているとされる。しかしながら現地では分光光度計など基本的な分析装置がなく、高濃度フッ素の地理的分布などは分かっていない。本研究では、この地理的分布を明らかにすること、また、宗教的に抵抗感の無い鳥骨炭を用いたフッ素除去法を開発し、現地の既存の井戸水ろ過装置に組み込むことによって飲料水からのフッ素の除去を目的とする。 これまでスリランカの25州のうち21州の600ヶ所を超える井戸水のサンプリングを実施し、フッ素ならびにその他のイオン成分や重金属成分について調査を行った。フッ素が高濃度の地域は北部中央州と南部の海岸地域に見られ、このうち北部中央州では慢性腎臓病の多発地域と重なることが判明した。フッ素が高濃度の地域内であっても、近隣にフッ素濃度が低い井戸が存在する場合もあり、このような場合には住民に飲用、調理用は濃度の低い井戸を利用するように勧めてきた。しかしながら近隣にフッ素濃度が低い井戸が存在しない場合もあり、このような場合にはフッ素の除去が必要となる。 そこで鳥骨炭を用いたフッ素除去に関して、炭化温度、粒度、水温の影響などを検討し、吸着モデルを構築した。モデルに基づき、家庭用のフッ素除去フィルター(直径11cm、高さ20cm)を製作し、スリランカのフッ素濃度の高い地域のひとつであるダンブッラの一般家庭において試運転を継続している。運転開始後の寿命は約6ヵ月を予想している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
井戸水中のフッ素濃度やそれ以外の成分の濃度に関しても地理的分布を把握することができた。 予定通り、鳥骨炭フィルターを製作し現地での運転が実施できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地で試運転中のフィルターの性能確認と、住民の意見をとり入れた改良を実施する。 鳥骨炭がフッ素を除去するメカニズムを解明し、処理に時間がかかるという鳥骨炭の短所を克服する。
|
Research Products
(8 results)