2012 Fiscal Year Annual Research Report
カトマンズ盆地における3次元地下構造モデルの構築とそれに基づく強震動予測
Project/Area Number |
23404005
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高井 伸雄 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10281792)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カトマンズ / 強震記録 / 表面波探査法 / 表層地盤 |
Research Abstract |
平成23年度にカトマンズ盆地に設置した強震観測点であるKTP(キルティプル区役所),TVU(トリブバン大学理学部地質学部),PTN(トリブバン大学工学部),THM(ネパール大学基金事務所)の4点で設置時に実施した,表面波探査法による浅部地下構造探査のデータを精査して,表層の地盤改良の影響で生じた得意な逆分散の表面波を高次モードを考慮することで逆解析し,より妥当と思われる表層地盤のS波速度構造を得た. 設置された観測点における観測データは現地研究協力者との連携のもとで回収,蓄積されている.2013年3月に現地観測点のメンテナンス及びデータ回収の為に渡航した.これにより,設置後の2011年11月12日23:46:56(GMT)にカトマンズの北西約70kmで発生し,カトマンズ市内で有感であったと言われるMw4.2の地震記録をPTNとTHMで得ることが出来た.本地震の記録の粗解析によれば,THMで2~4Hzの加速度フーリエスペクトル振幅がPTNと比較して2~4倍大きいことが明らかとなった.他の地点の記録は残念ながら,計器トラブルにより得られていなかった. 本地震記録後に,停電・高電圧による影響と思われる原因で, PTN,THMの2観測点で充電器が破損し,観測が継続されておらず,平成25年3月の渡航時に全地点で観測計器の修復・再始動を実施した.観測形態は,現地研究協力者の希望もあり,連続観測が継続されている.今後は,郵送によるデータ送付を受け取る方式で,国内において,継続して観測記録を解析していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各観測点の稼働状況は現地事情により問題も有ったが,2観測点で地震記録を得ることができている. また,地下構造モデルの構築に関しては,現地事情(交通・治安)により微動観測の実施は断念せざるを得なかったが,既往の重力探査結果等を入手しており,1次モデルの作成に有益な情報を得ていることになる. 一方,23年度に実施した表面波探査結果の詳細な検討に際しては,詳細な波形・スペクトルの解析を経ることで,副次的な成果として,高次モードを考慮した高精度な地下構造推定を実施出来ており,今後の浅部の地下構造探査手法として高い機動力を発揮できるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
[既往データの精査]24年度に引き続き各種既往の資料の収集を進める.このうち,過去の被害地震における被害分布等が把握できる場合に,被害甚大な箇所の抽出・特定を研究協力者と実施する. [深部地下構造モデルの検討]本来23,24年度で実施予定であった微動アレイ観測であるが,現地事情から到底観測が実施出来る状況でないことを把握した.そのため,既往の重力探査結果等を用いて,深部地下構造モデルの検討を行う. [浅部地下構造探査の実施]強震計設置地点において23年度に実施した表面波探査法により実施した,浅部の地下構造探査結果の詳細な解析を実施する. [3次元深部地下構造モデルの作成]前年度と上記①~③までで得られた地下構造データを用いて,カトマンズ盆地の初期3次元地下構造モデルが作成される.また,24年度に回収した強震観測データを基に,この初期3次元構造モデルの検討が実施される. [まとめ]23年度から実施した研究の総括を行うと伴に,カトマンズにおける強震動予測を行う上での問題点を整理することで,本研究のまとめとする.
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