2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23404007
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石橋 正己 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90212927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 愛弓 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (50161360)
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Keywords | 薬学 / 資源調査 / 天然物 / スクリーニング / 植物 |
Research Abstract |
1)薬用資源調査(天然物探索材料としての植物現地調査):平成23年12月12日から12月19日,研究代表者・石橋は,バングラデシュ国を訪問し,クルナ(Khulna)大学薬学部S.K.Sadhu教授およびジャガンナス(Jagannath)大学薬学部准教授Firoj Ahmed博士の指導のもと,現地の薬用植物の専門家の協力を得て,バングラデシュ北部~西北部のボグラ地区およびジョイプルハット市を中心に,熱帯薬用植物資源調査を行った.とくにこれらの地域特有の植物種や現地で栽培される薬用植物を中心に幅広く調査・採取を行った.採取した薬用植物等は約30種に上ったが,一つの種当たり採取量は予備的スクリーニングに最低限必要な量にとどめた. 2)ライブラリー構築とスクリーニング:上記の調査によって採取した植物サンプルについて,有機溶媒による抽出を行い,抽出エキスライブラリーの構築を継続して行っている.得られた抽出エキスを用いて種々のシグナル伝達経路(ウィント,ヘッジホッグ,トレイル,ヘスシグナル等)に対する作用に関するスクリーニング試験を継続して行っている. 3)活性成分探索:上記スクリーニングで陽性を示したバングラデシュ産サンプルのうち,マメ科Derris indicaの葉部抽出物よりTRAILシグナル経路におけるデス受容体DR5の増強作用をもつ5種のフラボノイドおよびスチルベン化合物を単離した.また,ヒルギ科のKandelia candel葉部のメタノール抽出物からは,ヒト胃がんAGS細胞に対してTRAIL耐性克服作用をもつオイデスマン型セスキテルペンラクトンを5種単離した.一方,センダン科Xylocarpus grantumからはウィントシグナル阻害作用をもつ新規リモノイド型テルペン2種を単離した.これらはTCF/βカテニン転写活性を濃度依存的に阻害し,2種の大腸がん細胞(SW480,HCT116)に対して対照細胞(293細胞)より強い細胞毒性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本海外学術調査研究は2008年から継続して行っており,毎年研究代表者がバングラデシュに出張し,現地のカウンターパートの協力を得て,薬用植物資源調査を行ってきた.これまでに数多くの薬用植物を調査採取し,当研究室におけるスクリーニング試験に用いてきた.その結果,これまでにトレイル,ウィント,ヘッジホッグシグナルに対するスクリーニングを行い,予想よりも数多くの活性化合物を単離してきた.さらにそれらの化合物の分子レベルでの作用機構についての解析も行い,興味深い結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
バングラデシュ在住のカウンターパート(研究協力者)との共同研究をひきつづき継続させ,最低年に1回は現地へ出張し,さらなる天然薬物資源調査を行い,スクリーニング試験用の抽出エキスライブラリーをさらに拡充する.拡充したライブラリーを活用してTRAILシグナル,ヘッジホッグシグナル,およびウィントシグナル等を対象としたスクリーニング研究をさらに継続して行っていく.これまでに得られた興味深い活性成分については,その分子レベルでの作用メカニズムの解析に関する実験をさらに進展させ,活性化合物の作用点や標的分子を解明するための実験方法を検討する.
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