2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23404007
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石橋 正己 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90212927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 愛弓 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (50161360)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬学 / 植物 / 有機化学 / シグナル伝達 / 生理活性 |
Research Abstract |
1)薬用資源調査(天然物探索材料としての植物現地調査):平成24年11月21日から11月27日,研究代表者・石橋は,バングラデシュ国を訪問し,クルナ(Khulna)大学薬学部S. K. Sadhu教授およびジャガンナス(Jagannath)大学薬学部准教授Firoj Ahmed博士の指導のもと,現地の薬用植物の専門家の協力を得て,バングラデシュ南部のバゲルハット地区およびボリシャル市を中心に,熱帯薬用植物資源調査を行った.とくにこれらの地域特有の植物種や現地で栽培される薬用植物を中心に幅広く調査・採取を行った.採取した薬用植物等は約35種に上った. 2)ライブラリー構築:上記の調査によって採取した植物サンプルについて,抽出エキスライブラリーの構築を継続して行っている.得られた抽出エキスを用いて種々のシグナル伝達経路(ウィント, ヘッジホッグ,トレイルシグナル,bHLH転写因子等)に対する作用に関するスクリーニング試験を継続して行っている. 3)活性成分探索:上記スクリーニングで陽性を示したサンプルのうち,キク科Saussurea hypoleucaの葉部抽出物よりTRAIL耐性克服作用をもつ4種のセスキテルペンラクトンを単離した.このうちsantamarineは15μMにおいて40%,mokkolactoneは40μMにおいて45%,TRAIL併用時にTRAIL耐性胃がん細胞AGSの細胞生存率を低下させた.一方,ガガイモ科Calotropis gigantea滲出物からはウィントシグナル阻害作用をもつ活性成分として6種のカルデノリド化合物を単離した.また,ヘッジホッグシグナル阻害作用に関するスクリーニングを行い,Vitex negundo(クマツヅラ科)より,新規化合物nishindanolを含む9種のジテルペンやフラボノイド化合物を単離した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本海外学術調査研究は2008年から継続して行っており,毎年研究代表者がバングラデシュに出張し,現地のカウンターパートの協力を得て,薬用植物資源調査を行ってきた.これまでに数多くの薬用植物を調査採取し,当研究室におけるスクリーニング試験に用いてきた.その結果,これまでにトレイル,ウィント,ヘッジホッグシグナルに対するスクリーニングを行い,予想よりも数多くの活性化合物を単離してきた.さらにそれらの化合物の分子レベルでの作用機構についての解析も行い,興味深い結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
バングラデシュ在住のカウンターパート(研究協力者)との共同研究をひきつづき継続させ,最低年に1回は現地へ出張し,さらなる天然薬物資源調査を行い,スクリーニング試験用の抽出エキスライブラリーをさらに拡充する.拡充したライブラリーを活用してTRAILシグナル,ヘッジホッグシグナル,およびウィントシグナル等を対象としたスクリーニング研究をさらに継続して行っていく.これまでに得られた興味深い活性成分については,その分子レベルでの作用メカニズムの解析に関する実験をさらに進展させ,活性化合物の作用点や標的分子を解明するための実験を行う.
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