2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際建設マネジメントに関わるケース・メソッドによる教育開発について
Project/Area Number |
23404010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Field |
Civil engineering materials/Construction/Construction management
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤井 克紀 京都大学, 経営管理大学院, 教授 (10595797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 正光 京都大学, 工学研究科, 助教 (10402968)
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Keywords | ケースメソッド / 国際開発プロジェクト |
Research Abstract |
平成23年度は、主として国際プロジェクトマネジメントのケース教材に相応しい題材の情報収集をJICA、JBIC、世界銀行、建設会社等から行った。そのなかには、国内で収集できた資料やプロジェクトの担当者からのヒアリングを通じて3件のケース案の作成(ケニア:園芸作物施設整備事業/ナクル市環境プロジェクト、エジプト:CDM交渉)を行い、内2件は実際の授業でも試験的に用いたともに、来年度のフィールド調査の事前研究と位置づけたものも含まれる。また、本邦建設会社との定期的なプロジェクト研究会から得られたケース情報からは、台湾の高雄地下鉄事業、アフリカ道路無償案件、インドのエチレンプラント事業といったケース作成の可能性について検討を重ねているところである。情報収集は比較的協力的に行うことができるが、実際のケースにおいて企業名や個人名を出すことには非常な抵抗があり、最終的にケース教材としての企業側の了解を得た上で広く公表することについてはハードルが高いことが判明した。 PPP/PFIプロジェクトに関するケースについては、タイのチェラロンコン大学Dr.Veerasakの協力を得て、タイのケースに関わる基礎的な情報整理を行った。それによると、タイにおけるPPP関連制度不備、ローカル企業受注傾向大、リスク対応に関してローカルと外国企業/外国企業間で異なることが特徴として考えられ、次年度は具体的なテーマをもって持ってケース調査を現地で行うこととした。また、昨年の東北大震災は国内での出来事なるも、その中からケースを作成し海外にアピールすることは非常に有意義であると考えたことから、その基礎調査も行った。結果、災害直後に立ちあげられたNGO組織のリーダーシップ、組織マネジメント、ステークホルダーのニーズと期待に対応したNGOの役割の変遷といった切り口でのケースが検討対象となり得ると思われるところ、継続的に同NGOからのヒアリングを行う予定にした。当初想定していなかったユニークな取組みとして、アセットマネジメントの国際規格の動向とプロジェクトマネジメントに関するケース教材の可能性について取り組んだことである。ISO策定プロセスをフォローするとともに、それを取り込もうとする組織対応は組織マネジメントシステムを強化し、関係する人々の意識を変えるものではないかと思われるとこと、引き続きケースとしての可能性を模索することとした。 さらに、経営管理大学院内でプロジェクトケースに関わる勉強会を計8回開催し、外部講師によるケースメソッドに関わる講演、ケースになり得る材料の検討等の活動も実施し、フィリピンのアジア経営大学院で行われているケース授業についてもファキュリティーデヴェロップメントの一環として視察を行った。 なお、年度初めに企画していた本邦企業のプロジェクトマネジメントに関するアンケート設計は、いくつかの企業からの反応からして有効な回答が得られそうもないことから、次年度以降タイでの現地調査の際のヒアリング調査で補うことを検討せざるを得ないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたケース作成2件に対して実績は3件、うち授業で2件を活用してみた。さらに、タイでPPP/PFIのケース2件を含めて6件程度のケース教材の題材が確保できる見通しが立ったことから、概ね順調に推移していると判断できる。さらに、各種勉強会のアレンジも本研究推進のために役立ったと言える。なお、出張に関しては、ケース題材を見つけるための情報収集が主体だったので、次年度は実際の現場を訪問する機会を増やすことでリアリティーをケースドラフトに反映させる必要があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
・既にケースドラフトが完成しているケニアのプロジェクトについては、現地調査を踏まえてティーチングノートも含めて最終案を作成。授業での活用を行う。台湾高雄市地下鉄事業、タイのPPP/PFIプロジェクトならびに大災害直後のNGO立ち上げに関わる組織マネジメントのケースにについては、これまでの事前調査情報をもとに現地調査を行い、ケースならびにティーチングノートを作成する。なお、タイにおいては、本邦企業のPPP事業への取り組みについてもヒアリング調査を行うことを検討する。その他3~4件程度の情報収集を通じ、ケース教材になり得る題材を検討することで、研究機関における当初目標の10件のケース作成に目途を付ける。 ・アセットマネジメント国際規格導入の組織マネジメントの影響については継続的にケース教材作成の可能性について検討したい。 ・ケース教材を最終的に完成させ、公表するには、当該ケースに直接関与した担当者や企業の了解を得る必要があるが、その了解を世紀に得るのが非常に難しい。その場合は、事実に基づいたケースとしながらも、実名等の記載は避け、表現にも工夫をしたうえで了解を取り付ける必要もある。
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