2011 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム・サイゴン川河岸崩壊現象の解明と対策工提案のための調査研究
Project/Area Number |
23404012
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
深川 良一 立命館大学, 理工学部, 教授 (20127129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 弘 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (90188045)
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Keywords | 国際貢献 / 水工水理学 / 地盤工学 / 土砂災害 / 自然現象観測・予測 |
Research Abstract |
平成23年度は,新たに設定した1地点において,詳細な(1)現地調査,(2)採取した試料に対する土質試験および(3)数値シミュレーションの実行可能性の検討からなる一連の学術調査を実施した。 原位置における地盤特性の調査に関しては,標準貫入試験を中心に実施した。室内土質試験は,ホーチミン工科大学の土質実験室において実施し、既に現地地盤の力学特性はほぼ明らかにすることができた。 また,研究分担者である高橋(東北大学)は,現地で発生する軟弱泥土の土質改良特性に関して基本的調査を行った。具体的には,現地発生材である稲わらをバインディング材として用いた場合の改良効果について,三軸試験などの結果に基づいて評価し,稲わらが効果的に機能することを明らかにした。 現地調査のうち河川流況の調査は,里深・WELLS(立命館大)とLUU 博士を中心としたホーチミン市工大水理学研究室が担当し、"超音波多層流向流速計(ADCP)"を用いた現地における2度の調査を通じて,1)河川水位,2)河川横断面方向の流速流向分布,3)河川縦断面方向の流速流向分布,4)河川横断面形状等を明らかにした。月変動や季節変動に関しては,ホーチミン市工科大水理学研究室が主に担当した。 数値シミュレーションの実行可能性の検討としては、新しい解析手法であるSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)に着目して検討を進めた。SPH法に用いる入力パラメータ(斜面形状,土質パラメータ,初期条件,境界条件)や妥当性評価に用いるデータ(斜面の変形,地盤内の水分量分布,地下水分布など)を現地モニタリングや土質試験により収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の概要にも述べたとおり、研究はほぼ順調に進行している。毎年1回日越合同セミナーを開催しており、平成23年度も日本側:11編、ベトナム側:4編の論文投稿・研究発表があり、活発な意見交換がなされた。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査、室内土質試験に関しては、地盤の透水性把握に重点が置かれる。調査箇所は昨年度選定した場所と同じである。河川流況調査も、昨年度とほぼ同様な内容で実施する。現地発生軟弱泥土の土質改良特性についても、昨年に引き続き各種バインディング材による改良について検討する。数値シミュレーションの実行可能性の検討に関しては、河岸崩壊現象の解析としては、大規模変形解析および侵食作用の解析が可能なSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法に用いる入力パラメータや妥当性評価に用いるデータを現地モニタリングや土質試験により平成23年度に引き続き収集する。河川の3次元流れの解析については、標準的な3次元流れ解析を行うため,市販ソフトのFluentを用いる。また,河岸近傍の乱流特性をより正確に予測するため,Large Eddy Simulation(LES)を行う。これらの結果をSPH法による大規模変形解析と連携させ,河川の3次元流れがどのように河岸崩壊や河床形状の変化に影響が与えるかを平成23年度に引き続き検討する。
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Research Products
(24 results)