2012 Fiscal Year Annual Research Report
ガンジスデルタの堆積構造に基づく広域的地下水ヒ素汚染機構の解明
Project/Area Number |
23404013
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
真野 明 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (50111258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 良信 東北学院大学, 工学部, 教授 (10111246)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ヒ素汚染 / 分配係数 / 吸着・脱着反応 / 持続可能性 |
Research Abstract |
ガンジスデルタにおけるヒ素汚染の3次元的な構造を調べるため、南北軸(Meherpur, Jessore, Bagerhat)と東西軸(Bagerhat, Narail, Madaripur)をとり、上記5箇所で井戸を掘削し土砂および地下水のサンプリングを行った。 ガンジスデルタは、3つの大河川が運んだ土砂が、第四紀完新世(現在から約一万年前まで)に堆積して形成した。これらの川は、ガンジス川と北側から合流するブラマプトラ川で、さらにその下流で北側からメグナ川が合流し、最後にパドマ川と名前を変えてベンガル湾に注ぐ。 堆積構造はほぼ、この大河川の流向によって決まり、南に向かって傾斜していることがわかった。デルタの北側では堆積層は薄く、南にいくにしたがって厚くなり、河口付近でその厚さは100mを超える。南部での下層は、粒径が大きく砂である。表層付近では、粒径は小さく、シルトあるいは粘土が分布している。これらの構造には海面変動が関係している。今から一万年前には、海水準は約120m低かった。したがって、河口付近の昔の河床勾配は急で、粒径の大きな砂が堆積した。その後、海面がじょじょに上昇するにしたがって、河口に近づくほど堆積厚が増し、河床勾配は緩くなって粒径の小さな土砂が堆積するようになったと分析することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の達成目標は、ガンジスデルタにおけるヒ素汚染の3次元的な構造を調べるため、南北軸(Meherpur, Jessore, Bagerhat)と東西軸(Bagerhat, Narail, Madaripur)をとり、上記5箇所で井戸を掘削し土砂および地下水のサンプリングを行うこと、土砂の粒径布を調べ堆積環境を分析することである。この結果、堆積構造はほぼ、この大河川の流向によって決まり、南に向かって傾斜していることがわかった。デルタの北側では堆積層は薄く、南にいくにしたがって厚くなり、河口付近でその厚さは100mを超える。南部での下層は、粒径が大きく砂である。表層付近では、粒径は小さく、シルトあるいは粘土が分布している。これらの構造には海面変動が関係している。今から一万年前には、海水準は約120m低かった。したがって、河口付近の昔の河床勾配は急で、粒径の大きな砂が堆積した。その後、海面がじょじょに上昇するにしたがって、河口に近づくほど堆積厚が増し、河床勾配は緩くなって粒径の小さな土砂が堆積するようになったと分析することができることがわかったので、目標は達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
堆積各層における土砂および地下水中のヒ素およびその他の鉱物の分析を行い、存在特性や溶出、吸着機構を明らかにすること。さらに、それらを使って、地層中のヒ素の輸送特性を予測すること。それらを総合して、ヒ素を多くは含まない安全な水資源を探索することにある。
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Research Products
(8 results)