2012 Fiscal Year Annual Research Report
南極域の風送バイオエアロゾル実相調査:気球等を使った先駆的生態系観測の展開
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23405003
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 史尚 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (60293370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿川 真紀子 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10359713)
岩坂 泰信 滋賀県立大学, 理事 (20022709)
山田 丸 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 環境計測管理研究グループ, 研究員 (40436829)
牧 輝弥 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (70345601)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 風送バイオエアロゾル / 南極 / 生態系観測 / 係留気球 / 生物分析 |
Research Abstract |
申請者らは黄砂発生源における係留気球を用いた上空の黄砂バイオエアロゾルの直接採集・生物分析を行い、世界で初めて黄砂とともにバイオエアロゾルが舞い上がっていることを明らかにした。現在、世界各国で生物系統地理学・生態学・地球史・生命史・健康影響・氷晶核形成能などに指向した風送バイオエアロゾルに関する研究が行われており、世界基準の監視項目となる日も近い。しかしながら、南極域上空の風送バイオエアロゾルに関する知見はほんとんどないと言っていい。申請者らは、これまで黄砂バイオエアロゾル研究で培った採集技術・生物分析技術を応用し、南極域上空の風送バイオエアロゾル実相調査を実施する。本研究のアウトプットは、極限微生物研究や南極生態系への入出力微生物データを寄与するばかりでなく、先進的な南極観測や地球規模での微生物生態学、さらには特殊な南極気流による「空の生態系解明」まで及ぶ。 昨年度(平成23年度)は、国立極地研究所へ何度も赴き、極地研究所主催のいくつかのシンポジウムにおいて発表し、研究内容の周知に努め、交渉し、南極観測隊候補になった。また、黄砂バイオエアロゾル用の観測装置を低温の南極域でも作動するか点検を行うとともに、改良を行った。 本年度(平成24年度)は、南極域風送バイオエアロゾル直接採集実施のため、第54次南極観測隊の訓練・打ち合わせに参加し、平成24年11月24日から平成25年3月21日まで南極地域(南極海・昭和基地・南極大陸ラングホブデなど)における風送バイオエアロゾル直接採集を実施した。 来年度(平成25年度)は、実際に採集したフィルターサンプルから直接DNAを抽出し、次世代シーケンサーなどを駆使し、生物分析を行う。さらに、それらの成果を学術論文誌やおもに海外の国際学会を中心に発表し、成果を社会・国民に発信する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、代表者小林史尚が第54次日本南極地域観測隊参加し、平成24年11月24日から平成25年3月21日まで南極地域(南極海・昭和基地・南極大陸ラングホブデなど)における風送バイオエアロゾル直接採集を実施した。 昨年度に、第5回南極観測シンポジウム(H23.10.6)や第2回極域科学シンポジウム(H23.11.14)に参加・発表し、国立極地研究所PO伊村先生と交渉を重ね、今年度、第54次日本南極地域観測隊の候補者となった。平成24年2月27日から3月2日にかけて長野県乗鞍高原にて実施された第54次南極地域観測隊冬期総合訓練に参加し、観測隊員候補者として必要な南極に関する情報の享受などを行った。さらに、平成24年6月18日から22日まで草津セミナーハウスにて開催された第54次南極地域観測隊夏期総合訓練に参加し、各観測・設営計画および出発までの準備等打ち合わせを行った。平成24年8月24日には第54次南極地域観測隊第1回打ち合わせ会に参加・出席し、夏期オペレーションの基本方針や昭和基地オペレーションに関する打ち合わせを行った。平成24年9月9日から14日においては、南極観測船(砕氷艦)しらせにおける観測実施訓練(函館港~境港港)に参加した。平成24年9月28日には第54次南極地域観測隊第2回打ち合わせ会に参加・出席し、夏期オペレーション実施体制・野外行動計画立案など種々観測実験実施に向けた打ち合わせを行った。平成24年11月9日には、第54次南極地域観測隊第3回打ち合わせ会に参加・出席し、最終打ち合わせを行った。平成24年11月24日から平成25年3月21日まで南極地域に出張し、しらせ船上における南極海、昭和基地における係留気球を用いた上空や地上、南極大陸ラングホブデにおける地上のサンプリングなどを行い、南極地域における風送バイオエアロゾル直接採集を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施した南極域におけるフィルターサンプル、係留気球関連上空の3サンプル、昭和基地地上の33サンプル、南極観測船(砕氷艦)しらせで採集した往路30サンプル、復路57サンプル、ラングホブデ氷河上を含めた南極大陸ラングホブデ地域(雪鳥沢・袋浦など)地上の13サンプル、沈着後を想定した雪氷5サンプルの計141サンプルの生物分析を実施する。具体的には、フィルターサンプルからのDNA直接抽出し、そのDNAサンプルのDNA濃度測定、次世代シーケンサーを用いた緻密な生物種組成分析を実施する。その結果を、学術論文や国際学会における発表を通じて、成果を社会・国民に発信する。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Phylogeographic analysis of filterable bacteria with special reference to Rhizobiales strains that occur in cryospheric habitats2013
Author(s)
R.Nakai, E.Shibata, A.Justel, E.Rico, A.Quesada, F.Kobayashi, Y.Iwasaka, G.-Y.Shi, Y.Amano, T.Iwatsuki, T.Naganuma
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Journal Title
Antarctic Science
Volume: Vol.25, No.2
Pages: 219-228
URL
Peer Reviewed
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