2012 Fiscal Year Annual Research Report
マメゾウムシ類の寄主シフトによるジェネラリストの派生的進化:毒物質と乾燥種子利用
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23405008
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 正和 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40178950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 義晴 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10354101)
徳永 幸彦 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90237074)
津田 みどり 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20294910)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マメ科 / マメゾウムシ亜科 / 分子系統解析 / 毒性物質 / 乾燥種子への適応 / 系統対応 / 多様性 / 共進化 |
Research Abstract |
嶋田は、連携研究者の伊藤教授、協力者の加藤特任助教と共同して、ガラパゴス諸島に生息しているマメゾウムシ数種のDNAを国際ボランティアの派遣院生を通じて入手することで分子系統解析を進めた。中南米のマメゾウムシ系統群の分子系統樹と比べて、海洋島のガラパゴス諸島の島成立絶対年代を考慮した種分化速度・系統分化速度の解析を進めた。 藤井は世界各地のマメ科植物等のアレロパシー活性を検索し、ペルー産植物、ブラジル、アマゾンの植物等から強いアレロパシー活性を示す植物を得た。その一部のアレロケミカルを同定した。マメ科植物に含まれる新たな有毒成分としてこれまでに報告したシアナミドのGC-MSによる精密測定法を開発し、定量分析を行った。 徳永はベトナムでインゲンマメゾウムシが定着し始めていることから、ベトナムのホーチミンシティとハノイのほぼすべての市場をめぐり、マメゾウムシの採集を行った。食害された各種豆を採取したが、実験室に持ち帰って羽化してきたのは、現時点でヨツモンマメゾウムシとアズキゾウムシだけだった。昨年までに採集済みのインゲンマメゾウムシを使って、Phaseolus属以外の豆に対する食害特性を調べた。 津田と藤井は、ウェブ上で閲覧・検索できる「マメ科と昆虫のデータベース」を構築し、旧世界を中心にマメゾウムシの種ごとに寄主植物と地理的分布、およびマメ科の持つ化学物質を入力する作業を進めた。津田と徳永は、アフリカとアジアのヨツモンマメゾウムシのmtDNA遺伝子COI, COII, および核遺伝子EF1a領域を元に、集団遺伝学的解析を行った。mtDNAの地域間変異はアフリカ大陸内ではあったがアジア大陸内ではなく、mtDNA・核遺伝子ともに大陸間の変異はなかった。これは主にササゲの輸出入によって本種が原産地のアフリカからアジアへ移出し、アジア内では地域間混合を繰り返す歴史を反映していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
協力研究者の加藤俊英が特任研究員から学部附属の教養教育高度化機構・特任助教になり研究時間がなかなか取れない立場になったことと、分担者の藤井義晴氏が独立行政法人・農業技術環境研究所から東京農工大学に転職したために、毒性物質の化学分析を行う人員がいったん乏しくなったことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
嶋田研内で化学分析に長けた特任研究員・笹川幸治にこの研究課題に異動してもらって、平成25年度は新たな体制で藤井教授と毒性物質の分析を進める体制が整った。まずは、GC-MSを利用した低分子物質の解析から着手する。それと同時に、サヤ表面の毛(trichome)にも物理的・化学的な防御形質となっているので、走査電子顕微鏡(SEM)による撮影とサヤの化学分析を進める。
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Research Products
(11 results)