Research Abstract |
2011年9月にインドネシア,パプア州ジャヤプラ市近郊スンタニ湖畔において,デンプン収量が大きく異なるサゴヤシ変種5種(栽培変種:Para,Yepha,Pane,Rondo;野生変種:Malmo)の収穫適期の平均的な個体各1本(但し,Mannoは2本)を伐採し,各器官及び部位の乾物生産特性を調査した.また,各部位の乾物サンプルについて,全糖,デンプンおよび無機成分(N,RK,Ca,Mg)含量を定量した. その結果,個体当たりの全乾物重は468kg~2021kgを示し,Paraで顕著に重く,Rondoで顕著に軽く,変種間で約4.3倍の差が認められた.樹幹および髄の乾物重は栽培変種で野生変種より重く,明らかな変種間差異が認められた,全乾物重に占める樹幹および髄の乾物重割合は,栽培変種で野生変種より高かった.各部位の全糖含有率(3.3~2LO%)は小葉>樹皮≒葉柄+葉鞘>髄の順に,デンプン含有率(0.0~71.3%)は髄>>樹>葉柄+葉鞘≒葉軸>小葉の順に高く,変種間では髄部のデンプン含有率は野生種に比べて栽培種で高く,全糖含有率は低い傾向が見られた.デンプン収量(乾燥デンプン)は63.1kg~905.3kgとなり,変種間で約14.3倍の差が認められ,Paraで顕著に高く,Manno2で顕著に低かった.髄のデンプン収量と髄乾物重および髄乾物重と全乾物重との間には高い有意な正の相関関係が認められたが,髄乾物重と全乾物重に占める髄の乾物重割合との間には有意な相関関係は認められなかった. 各部位における無機成分含有率は,N:0.9~8.9,P:0.1~1.3,K:1.3~15.3,Ca:0.5~5.1,Mg:0.3~1.3gkg^1の範囲に分布し,小葉ではNが,その他の部位ではKの含有率が最も高かった. サゴヤシ各部位からのエタノール生産効率については,測定中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿ったインドネシア,パプア州ジャヤプラ近郊,スンタニ湖畔の現地調査により代表的なサゴヤシ変種(5種)をサンプルし,それらの部位別の生重と乾物重,さらには無機成分と有機成分(全糖,デンプン)含有率を明らかにした.各部位からのエタノール生産効率については,近くデータがでる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の結果を受けて,再度,スンタニ湖畔において,代表的なサゴヤシ変種の物質生産特性と各部位の無機,有機成分含有率を明らかにし,各部位からのエタノール生産効率について検討する.また,インドネシア,西パプア州南ソロン県において開発中のサゴヤシ野生林のサゴヤシについて同様の調査を行い,スンタニ湖畔のサゴヤシとの物質生産,成分含有率,デンプン生産性およびエタノール生産効率などの比較を行う。
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