2011 Fiscal Year Annual Research Report
タイ国カドミウム汚染土壌水田での低カドミウム米栽培試験
Project/Area Number |
23405021
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 教授 (50157393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 久美子 京都大学, 農学研究科, 助教 (40533302)
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Keywords | カドミウム / イネ / 環境修復 / 低カドミウム米 / 食の安全 |
Research Abstract |
今年度はタイ国ターク県メーソット郡のカドミウム汚染土壌地帯を訪問し、(1)土壌のカドミウムの分布地図つくり、(2)作付けされているカオドックマリ105のモミのカドミウム含有率の測定し、(3)モミカドミウムと土壌カドミウム含有率の関連を調査し、(4)タイの農業省奨励イネ品種42系統の栽培、を行った。(1)、(2)は本補助金採択以前から実施していたので、それらの成果を取りまとめ公表の準備を進めている。(1)(2)では、水稲を栽培している最中の土壌のサンプリングが出来なかったので栽培前の乾燥した土壌をサンプリングし、その可給態カドミウム量を測定したところ、灌漑水の流入経路によって土壌のカドミウム含有率が変化しており、河川を経由してカドミウムが分配されたことを予想させた。さらに施肥の有無、登熟期の水田の水分状態によってモミのカドミウム含有率が変化することが推定されたので、低カドミウム品種を選抜すること、カドミウムを吸収しにくい栽培方法を採用することで、住民のカドミウム摂取量を低減する方策を提案できる可能性が見つかった。42系統のタイ国農業省の奨励品種を栽培したところ、現地で生産者が好んで栽培するカオドックマリ105よりもモミカドミウム含有率が有意に低い系統が3つ(RD5、RD15、サンヨット)見つかった。特にRD15はカオドックマリ105のガンマ線照射突然変異体から育種された系統なので、カドミウム輸送機構に変異が生じている可能性も考えられることから、今後RD15を用いてカドミウムの吸収輸送機構を検討して行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの先行研究によって予備的な試験の多くを省略することができたので、初年度から品種間の比較などを開始することができた。これまでのところ順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
現地で生産者が好んで栽培する品種よりもカドミウム蓄積量の少ない系統が見つかった。これらは栽培慣行がすこし異なるため、生産者がカドミウム含有率が低いことを理由にして栽培を受け入れてくれるかどうか、不明である。今後、低カドミウム品種と人気品種を交配することも視野に入れて研究を進めて行きたい。
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