Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 利博 東京大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30332571)
福田 健二 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30208954)
梶村 恒 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10283425)
松田 陽介 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (30324552)
中島 千晴 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (20378318)
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Research Abstract |
アジア地域でのRaffaelea属菌および養菌性キクイム類の分布を把握するため,今年度はタイ,マレーシア,ベトナムで調査を行った.その結果,次のことが明らかとなった.(1)タイでは,北部のナラ類の林において多くの種類の養菌性キクイムシが捕獲された.また,それらが穿入したナラ類の坑道およびキクイムシの体表からRaffaelea属菌が検出され,分子生物学的な検討の結果,日本で検出されているRaffaelea quercivoraに遺伝学的に近いことが明らかとなった.また,複数のRaffaelea属菌が存在する可能性が示唆された.(2)ベトナムでは,中国との国境近くのナラ類の林において,養菌性キクイムシが関与すると考えられる集団枯死が見つかった.枯死木にキクイムシ類の穿入があり,虫および坑道からRaffaelea属菌に類似する菌が検出され,現在その属性を検討中である.(3)中国重慶市内のカシ林において,従来報告のないカシ類の集団的な衰退枯死現象が観察され,被害が拡大しているとの報告を受け,2011年12月に現地調査を行った.養菌性キクイムシおよび病原菌の関与については明らかにできなかったが,今後,詳細な調査が必要である.(4)マレーシアおいては,アカシアマンギウムの造林地に設置したトラップでキクイムシ類がトラップされ,穿入坑道からRaffaelea属菌に類似する菌が検出され,現在その属性を検討中である.日本各地で発生しているナラ類の大量枯損症状被害木より分離されたRaffaelea quercivoraについて,正基準標本由来株を含めて,その分類学的位置づけを各種顕微鏡を用いた形態学的観察と分子系統解析により再検討した.結果,これまで不明確とされていた左R.quercivora菌の分生子形成様式および分子系統学的位置づけが明らかになり,近年アジア地域に発生している本病害との比較研究の際に評価の基準となる成果を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度,海外での試料採集に関して,その許可を得られないケールがあったが,おおむね順調に調査等を行うことができている.
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Strategy for Future Research Activity |
達成度で記述したように,今年度海外での試料採集に関して,その許可を得られないケールがあった.来年度も同様のケースがあれば,調査範囲を縮小するか,同じ国の異なる地域で調査を行う必要がある.
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